TOP 公務労協情報 2022年度基本要求に対する回答を引き出す-12/23
公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2022年度 公務労協情報 No. 7

2022年度基本要求に対する回答を引き出す-12/23

公務員連絡会は12月23日、幹事クラス交渉委員が人事院、内閣人事局との交渉を実施し、11月26日に提出した「2022年度の基本要求」に対する回答を引き出した。
それぞれの交渉経過は次のとおり。

<人事院との交渉経過>
 人事院との交渉は好岡職員団体審議官、増尾職員団体審議官付参事官が対応した。
 冒頭、高柳副事務局長が、基本要求に対する回答を求めたのに対し、好岡審議官は「11月26日に提出のあった『基本要求』については、今後引き続き検討すべき事項が多いが、主な要求事項について、現時点での検討状況等を申し上げる」として次のとおり人事院の現段階の見解を示した。

一、賃金に関する事項
(1) 給与水準について
公務員給与の改定については、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢に立った上で、職員団体の皆さんの意見も聴きながら適切に対応していきたいと考えており、引き続き、春闘における民間の動き等を注視してまいりたい。
(2) 官民の給与の比較方法について
官民給与の比較方法については、公務と民間で同種・同等の業務を行っている者同士を比較するという民間準拠方式の下、民間企業従業員の給与をより広く把握し国家公務員の給与に反映させるため、必要な見直しを行ってきており、比較対象企業規模を含め、現行の取扱いが適当と考えている。
(3) 諸手当について
諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、必要となる検討を行ってまいりたい。
なお、超過勤務手当については、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に、正規の勤務時間以外の時間において勤務することを命ぜられたときに行われるものであり、超過勤務命令に従い勤務した時間に対しては、超過勤務手当が支給されることとなっている。昨年11月から本年2月にかけて、勤務時間制度の担当課長が超過勤務の上限の運用状況等について各府省人事担当課長等からヒアリングを行った際にも、正規の勤務時間外に職員に勤務をさせる場合には、適切に超過勤務を命じ、超過勤務手当を支給するように指導を行ったところであり、引き続き各府省に対する必要な指導等を行っていくこととしている。
また、国家公務員の退職給付については、「国家公務員の総人件費に関する基本方針」(平成26年7月25日閣議決定)において、官民比較に基づき、概ね5年ごとに退職手当支給水準の見直しを行うことを通じて、官民均衡を確保することとされており、令和3年7月30日、内閣総理大臣及び財務大臣から人事院に対し、民間の退職金及び企業年金の実態調査の実施と見解の表明についての要請があった。
これを受け、10月1日から12月28日までの期間で、民間の退職金及び企業年金の実態調査を実施しているところである。見解の表明に向けては、職員団体の皆さんの意見も伺ってまいりたい。

(4) 再任用職員について
再任用職員の給与については、公務における人事運用の実態や民間企業の再雇用者の手当の支給状況を踏まえ、これまでも見直しを行ってきているところであるが、引き続き民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、定年引上げに併せて設けられる定年前再任用短時間勤務制等も含めた各府省における運用を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、再任用職員の給与の在り方について必要な検討を行ってまいりたい。

二、新型コロナウイルス感染症に関わる事項
新型コロナウイルス感染症への対応については、これまで、感染拡大防止に資するよう、柔軟な時差出勤のための勤務時間割振りの特例措置、出勤困難な場合の特別休暇の取扱いに関する通知の発出、職場における感染拡大防止対策の周知、予防接種を受ける場合における職務専念義務の免除などの対策を講じてきたところである。今後とも、感染状況等を注視しつつ、必要な対応を行ってまいりたい。

三、労働時間、休暇、休業に関する事項
(1) 超過勤務の縮減について
国家公務員の超過勤務については、平成31年4月から、超過勤務命令を行うことができる上限を人事院規則で設定している。
この超過勤務の上限の運用状況等について、昨年11月から本年2月にかけて勤務時間制度の担当課長が各府省人事担当課長等からヒアリングを行い、指導を行ったところである。
人事院としては、引き続き各府省における超過勤務の上限に関する制度の運用状況を把握した上で、特例業務の範囲や他律的業務の比重が高い部署の指定の考え方について統一が図られるよう、各府省に対する指導・助言を行っていくこととしている。
また、医師による面接指導等を徹底することや、人員配置・業務分担の見直し等を通じて超過勤務を必要最小限のものとすることについて、引き続き指導を行っていくこととしている。

(2) 休暇、休業制度について
職員の休暇、休業については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきたところであり、引き続き民間の動向等を注視してまいりたい。
ご要求のうち、出生サポート休暇については、本年12月1日に改正人事院規則等を公布した。公布の際に、各府省に対し、制度担当者向けのQ&Aを配布し、プライバシーの配慮等について周知啓発や指導を行うとともに、各府省において周知啓発等に活用してもらうため、職員向けのリーフレット及びQ&Aを配布し、人事院HPにも掲載した。引き続き、制度の導入当初の周知啓発の重要性にも鑑み、取得したい職員が取得できるよう、各府省への指導、周知啓発等を行ってまいりたい。
育児休業法の改正法案の取扱いについては、引き続き、政府において検討されているものと承知している。非常勤職員の在職期間要件の緩和については、人事院規則の改正で対応できるものであり、公務員連絡会の皆さんから強い要望があったことも受けて、政府における検討状況を踏まえつつ、令和4年4月に実施できるよう、準備を進めてまいりたい。

(3) 勤務時間制度について
勤務間インターバルの確保については、本年7月に変更が閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において、民間における勤務間インターバル制度の導入企業割合等について数値目標が設けられていることも踏まえ、「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」において、公務における勤務間インターバル確保の方策等についても検討を行っていくこととしている。
なお、同研究会は令和4年1月から開催することとしており、そこでの議論については職員団体の皆さんにも適切に共有するとともに、職員団体の皆さんの意見を聴くことも行いながら進めていくこととしたい。

四、雇用と年金の確実な接続に関する事項
定年の段階的引上げに関する人事院規則等については、これまで、本年6月22日に措置の概要(案)をお示しし、7月20日にご質問等をいただき、8月12日に回答させていただいたところ。いただいたご質問等も踏まえ、現在、人事院規則の検討を進めており、できる限り早く措置したいと考えている。令和4年2月頃までの公布を予定しており、定年の段階的引上げに伴う人事院規則の制定等に係る措置の要綱(案)を先般お示ししたところである。人事院規則の制定等に向けては、職員団体の意見も伺いながら、適切に対処してまいりたい。

五、女性公務員の労働権確立に関する事項
人事院としては、女性の活躍推進を人事行政における重要な課題の一つと認識しており、女性の採用・登用の拡大や両立支援等の拡充など様々な施策を行ってきているところである。
勧告時報告でも言及したとおり、今後とも、政府の取組と連携しつつ、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動の充実、女性職員の能力を伸長させ活躍を支援するための研修の充実や、妊娠、出産、育児等と仕事の両立支援制度の拡充、良好な勤務環境の整備などを通じて、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法等に基づく各府省の取組を支援してまいりたい。
さらに、令和2年12月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画の内容も踏まえつつ、今後も引き続き、職員が働きやすい勤務環境の整備や女性の採用・登用の拡大に向けた様々な施策について、所要の検討を進めてまいりたい。

六、福利厚生施策に関する事項
(1) 心の健康づくり対策について
心の健康づくり対策については、平成16年3月に発出した「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として様々な施策を展開しているところであり、引き続きそれらの取組を進めてまいりたい。
また、平成28年度より、各省各庁の長に対して、職員に医師等によるストレスチェックの受検機会を付与すること及び職員からの申出に応じて面接指導を実施することを義務付けることなどを内容とするストレスチェック制度が実施されているところである。
現在、「こころの健康相談室」のより相談しやすい環境の整備に資するため、オンライン相談の導入に向けた試行を実施しているところであり、また、ストレスチェックの結果の効果的な活用の方策について検討を進めているところである。

(2) ハラスメント対策について
ハラスメントの防止については、昨年4月、パワー・ハラスメントの防止等の措置を講じるための人事院規則を制定し、あわせて、セクシュアル・ハラスメント及び妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る人事院規則についても、所要の規定の整備を行い、同年6月に施行した。これらの人事院規則においては、ハラスメントの防止等のための各省各庁の長の責務や、研修等の実施、苦情相談への対応等が定められているところ、人事院はこれまで、研修教材の作成・提供や、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催など、各府省に対する支援を行ってきている。また、各種ハラスメント相談員の設置体制など各府省のハラスメント防止対策の実施状況を把握するほか、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーを引き続き開催し、研修用教材の改訂等を行うなど、各府省においてハラスメント防止対策が適切に実施されるよう、必要な支援・指導を行ってまいりたい。
また、苦情相談を含めた公平審査制度において、パワー・ハラスメントに関する事案についても人事院の役割を果たしてまいりたい。

七、人事評価制度に関する事項
先般の人事評価に関する政令改正では、きめ細かく的確な評価を行うため、評語区分を現行の5段階から細分化し6段階にするなどの改正が行われ、新たな評語区分の定義等の詳細の定めについても、12月15日に発出されたところ。これに伴い、評語の内容・定義を踏まえて、新たな評語区分により把握された能力・実績を任用、給与等に適切に反映するよう昇任、昇格、昇給等の基準を見直すこととしており、11月30日に関連する人事院規則等の改正案(措置要綱)をお示しし、12月7日に改正案に対する質問・意見を提出頂き、12月15日に回答をお送りしたところである。この件に関しては、お示しした改正案のとおり人事院規則等の改正を行い、12月24日に公布することとした。

八、非常勤職員制度に関する事項
非常勤職員の任用、勤務条件等については、その適切な処遇等を確保するため、法律、人事院規則等に規定しており、期間業務職員制度、育児休業など、これまで職員団体の皆さんの意見も聴きながら見直しを行ってきたところである。
非常勤職員の休暇については、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、結婚休暇の新設及び忌引休暇の対象職員の要件の削除(平成31年1月施行)、夏季休暇の新設(令和2年1月施行)、出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の新設並びに産前休暇・産後休暇の有給化(令和4年1月施行)などがある。
また、公務員連絡会との間でこれまでも適宜の時期に意見交換を行ってきたところである。
今後も、意見交換を継続していくとともに引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。

九、障害者雇用に関する事項
障害者雇用に関しては、障害を有する職員が自らの希望や障害等の特性に応じて、無理なく、かつ、安定的に働くことができるよう、平成30年12月にフレックスタイム制の柔軟化等を実現するための人事院規則等の改正を行い、平成31年1月から施行するとともに、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
このほか、厚生労働省と連携して、各府省における合理的配慮事例の情報共有などの支援を行っている。今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。

これに対して、高柳副事務局長は、次のとおり質すとともに重ねて要請をした。
(1) 民間春闘の動向であるが、連合は「ベースアップ分を含む4%の賃上げ要求」を方針として掲げ、このもとで各構成組織も要求取りまとめの作業を行っているところである。一方、経団連側も数字こそ明確にしなかったものの、賃上げを各加盟企業に呼び掛けている。さらに政府も、首相自ら2022春闘での積極賃上げを期待する旨発言されているところである。感染症の不安が払しょくされない中で、結果についてはどうなるか分からないが、経済回復にとって、公務員賃金の引き上げは少なくない影響を及ぼすことは明らかである。人事院としても、精確な調査の上で、民間準拠の原則のもとで勧告を行うことは当然としても、このような趨勢全体を踏まえた対応をお願いしたい。
また、初任給を中心とする若年層における民間賃金との格差の問題について、2021年人勧期の人事院と私どもとの議論の経過を踏まえた上で、引き続き検討のための議論を行うことを求めておく。
(2) 退職給付について、要求書の提出時に、「(調査委終了後の)具体的なスケジュールは未定であるが、前回の調査では、平成28年10月1日から調査を開始し、平成29年4月19日に結果を公表した」旨言及があったが、今回についても、このようなスケジュール感になる方向と考えてよろしいか、ご教示いただきたい。いずれにしても、職員の生涯設計にも重要な影響を及ぼす課題であるので、引き続き前広な情報提供と適宜私どもと協議していただくことを改めて求めておく。
(3) 再任用職員の給与制度については、2023年度から定年前再任用短時間勤務職員制度および暫定再任用職員制度が措置されることから、本年の人勧期における議論経過を踏まえ、給与制度の改善に向けて、私どもと協議を適宜行うことを求めておく。
(4) 超過勤務について、ご回答にあったヒアリングに続き、2020年度のヒアリングは行っているのか、ご教示いただきたい。その場合、昨年同様、各府省の状況について、私どもに情報提供いただくとともに、議論の場を設定することを求めておく。
また、ご発言のとおり、実態を把握した上で、特例業務の範囲や他律的業務の比重が高い部署の指定の考え方についての統一など各府省に対する指導・助言を強化するよう求めておく。いずれにしても、若手職員を中心に超過勤務が過労死ラインを超えている実態もあることから、引き続き、超勤の縮減が最重要課題の一つであるとの認識のもと、人事院としても、引き続き必要な役割を果たすよう求めておく。
(5) 育児休業に関する非常勤職員の在職期間要件の緩和について、来年4月に実施できるよう人事院規則の改正作業など準備していくとのことであるが、現時点での作業の見通しなどがあればご教示いただきたい。
(6) 勤務間インターバルに関連して、研究会を来年1月から開催するとのご回答があったが、まず研究会のメンバーや、スケジュール感などについて、別途情報提供をしていただけるとの認識でよいか。いずれにしても、私どもとの協議を適宜行うことを求めておく。
(7) 定年の段階的引き上げに関する人事院規則の整備については、年明けに私どもも意見を提出するが、これまでも繰り返しお願いしてきたとおり、地方団体その他への影響も大きいことから、極力早い作業をお願いしたい。
(8) 女性公務員の労働権確立に関わって、ここ数年、日本における様々な場面でのジェンダー平等の遅れが指摘され続けているところである。公務は、民間に率先垂範する立場でもあるという認識をもって、人事院としても、より一層の努力を行うよう求めておきたい。
(9) 非常勤職員の処遇改善について、ご回答のとおり、この間社会的な趨勢も踏まえつつ、さまざま改善されてきたことは事実である。しかし、要求書にも示したとおり、非常勤職員の法律上の位置付けや勤務条件の全般にわたって常勤職員との均等待遇という観点から多くの課題が残されているのが実態であり、さらなる改善のための努力を求めておきたい。
また休暇制度について、引き続き人事院と私どもとの検証の場を持ち、協議していきたいと考えるが、認識如何。
ところで、本年7月の「非常勤職員給与決定指針」の改正を踏まえた期末・勤勉手当の支給月数の実態について、今後、人事院として把握することも必要なのではないか。

続いて、交渉委員から、リフレッシュ休暇を含め福利厚生の一環としてのレクリエーションの拡充、非常勤職員について休暇をはじめとする更なる労働条件の改善、看護、介護、保育職種における民間動向を踏まえた賃金改善、民間給与と比較した初任給の給与水準について意見・要望が出された。

 これらを受け、好岡審議官は次のとおり答えた。
(1) 初任給については、労働市場における競争性が高いことから民間企業との均衡を基礎に置きつつも、厳密な均衡を図るのではなく、俸給表全体のバランス、人材確保の要請等を総合勘案して決定してきている。
このような考えの下、近年では、一般職試験(大卒程度)採用職員及び一般職試験(高卒者)採用職員等に係る初任給について、民間の初任給との間に差があること等を踏まえ、重点的に引上げを行ってきたところ。
今後も、国家公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、適切に対応してまいりたい。
(2) 民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果公表のスケジュールについてお話しをいただいた。
 この調査については、先日申し上げたとおり、10月1日から調査を開始し、調査期間の末日は、従来11月30日までを予定していたが、調査対象企業から、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための出勤回避をしており、対応する人手が不足していることなどから、同日までの回答は難しい旨の連絡が複数存すること等を踏まえ、調査期間の末日を12月28日に変更することとした。
 現在調査を実施中であり、現時点において、その後の具体的なスケジュールは未定であるが、前回の調査では、平成28年10月1日から調査を開始し、平成29年4月19日に結果を公表したところであり、今回も同程度の期間は必要となるものと考えている。
 なお、見解の表明に向けては、職員団体の皆さんの意見もうかがってまいりたい。
(3) 令和2年度における超過勤務の上限の運用状況等については、勤務時間制度の担当課長が、順次各府省に対するヒアリングを行っているところである。なお、取りまとめた結果については、前回同様、職員団体の皆さんに適切に情報提供することとしたい。
(4) 非常勤職員の育児休業の在職期間要件の緩和については、先ほどお答えしたとおり、令和4年4月に実施できるよう、準備を進めてまいりたい。成案を得る過程においては、職員団体の皆さんのご意見も伺ってまいりたい。
(5) 研究会について、適切に情報提供を行うとともに、先にお話ししたように、職員団体の皆さんの意見も聴きながら進めていくこととしたい。
(6) 先に申し上げたとおり、非常勤職員の休暇については、これまでも、公務員連絡会との間で適宜の時期に意見交換を行ってきたところであるが、今後も意見交換を継続していくこととしたい。
また、非常勤職員の期末勤勉手当の支給実態に関して、これまでも、指針に基づく各府省の取組状況等についてはフォローアップを行っているところであり、本年7月の改正部分の取組状況についても、今後いずれかの段階で確認することを考えている。
(7) そのほか、リフレッシュ休暇をはじめとする休暇制度の充実、医療、介護、保育職場における給与水準等についていろいろなご意見、ご要望をいただいたが、勧告、報告に向けて、今後も様々な検討を行ってまいりたい。

最後に、高柳副事務局長が「本日の回答については、今後に向けての現時点における人事院としての考え方が示されたものと受け止めておく。来年2月に改めて春季要求書を提出する。その際には本日明らかになった点も含めて、改めてやり取りをさせていただければと考えている」と述べ、回答交渉を終えた。


<内閣人事局との交渉経過>
内閣人事局との交渉は、松本内閣審議官、中井総括参事官が対応した。
冒頭、高柳副事務局長が、基本要求に対する回答を求めたのに対し、松本審議官は「11月26日に提出のあった「2022年賃金・労働条件に関わる基本要求」について、この時期における回答をさせていただく」と述べ、次のとおり答えた。

1.雇用と賃金・労働条件について
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
 給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。
2.新型コロナウイルス感染症への対応について
 「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)等を踏まえ、人事院とも連携しながら、各府省に対しテレワークや時差通勤等により、可能な限り人との接触の低減に取り組むなど、感染拡大防止に向けた取組を依頼してきたところ。引き続き、関係機関と連携しながら、適切に対応してまいりたい。
 また、ワクチン接種については、接種しやすい職場環境の整備のため、人事院に検討を依頼していたところ、本年5月にワクチン接種する場合及び副反応が生じた場合に職務専念義務の免除を行えるよう、措置がなされているところである。加えて、特にワクチン接種の必要性の高い職員を対象に、職域接種を実施したところである。
3.労働時間、休暇及び休業、人員確保等について
 長時間労働の是正と職員のやりがい向上のため、各府省は、本年1月に改正した「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、
・長時間労働の要因に応じて、廃止を含む業務の徹底した見直し・効率化や人員配置・業務分担の見直し
・部下職員の超過勤務時間見込みの事前把握を含めた管理職のマネジメント改革による超過勤務の縮減
を柱とする働き方改革に強力に取り組んでいるところ。
 特に管理職のマネジメントについては、全ての管理職に、業務効率化等の具体的ツールを教える管理職研修を義務付けるほか、人事評価についても、マネジメントの評価を重点化することとしている。今後とも、勤務時間などの基準を定めている人事院と連携して超過勤務の縮減に取り組んでまいりたい。
 また、人手が足りないという部署については、なお不足する定員や、業務見直し・効率化やマネジメント改革を行うための定員を措置することとしている。
なお、育児休業については、人事院の意見の申出を踏まえ、必要な作業を進めているところである。
4.女性公務員の労働権確立について
 女性活躍推進法及び「第5次男女共同参画基本計画」を踏まえ、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、女性の採用・登用の拡大、男性職員の育休取得促進等の取組を進めているところ。引き続き、各府省の取組のフォローアップ等により、各府省の「行動計画」等が着実に実施され、男女問わず全ての職員のワークライフバランスを実現し、女性活躍の動きを更に加速してまいりたい。
5.福利厚生施策等について
 「国家公務員健康増進等基本計画」等に基づき、職員の能率増進のため、ハラスメント防止対策に関する研修・啓発の確実な実施や相談体制の整備等の取組を進めているところ。引き続き、各府省における基本計画の実施状況を把握し、必要な措置が講じられるよう取り組んでまいりたい。
6.人事評価制度について
 人事評価の改善に当たり、各府省等において新たな人事評価が円滑に運用されるよう、引き続き、制度の周知や評価者訓練の徹底等に努めてまいりたい。
 また、来年10月から実施される評語区分の見直し等のための通知の改正については、引き続き、皆様のご意見も伺いつつ、順次進めてまいりたい。
7.雇用と年金の接続について
 定年の段階的な引上げ期間中については、定年から65歳までの間の経過措置として現行の再任用制度と同様の制度を措置することとしたところであり、引き続き、適切に対応していきたい。
 また、令和5年度からの段階的な定年の引上げの円滑な運用が行われるよう、各府省の意見を聞きながら検討を行っているところ。
8.非常勤職員制度等について
 非常勤職員の処遇改善については、重要な課題であり、これまでも、各府省に対し必要な予算が確保されるよう働きかけを実施し、処遇の改善が図られてきたと認識している。
 今後とも、非常勤職員の給与等に係る具体的な基準を定める人事院と連携し、各府省における非常勤職員の処遇改善に向けた必要な予算確保がしっかりと行われるよう、適切に働きかけを実施してまいりたい。
9.障害者雇用について
 「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、障害者の多様な任用形態の確保、障害者雇用マニュアルの作成などにより、障害のある職員が意欲と能力を発揮し、活躍できる環境の整備に取り組んできたところ。
 また、職場実習の実施や講習会の開催など、障害のある職員を受け入れる側も含めた支援等にも努めている。
 今後とも、関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう、取り組んでまいりたい。
10.公務員制度改革について
 これまで、勤務条件に関わる様々な課題について、ご意見を伺いつつ対応してきたところ、皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたいと考えているが、自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、慎重に検討する必要があると考えている。

 これに対して、高柳副事務局長は次のとおり質すとともに重ねて要請をした。
(1) 公務員賃金の決定に当たっては、人勧制度のもと民間に準拠することが基本であ
るが、コロナ禍からの回復をめざす日本経済にあって、特に地域経済への影響という点からも、公務員賃金の引き上げは重要なファクターである。職員の賃金改定に当たっては、まさしく国政全般の観点に立ってご判断いただくことを現段階で求めておきたい。
(2) 新型コロナウイルス感染症については、いわゆる第6波が懸念されているところへ、新型の変異株が世界的に流行する事態となっている。公務員が濃厚接触者とならざるを得ない場面も多くあることから、引き続き関係機関とも連携し、職員の安全を確保していただくようお願いしたい。
(3) 職員の超過勤務については、手当の全額支給が前提であることをまず指摘しておきたい。その上で、若手職員を中心に超過勤務が過労死ラインを超えている実態もあることは内閣人事局の昨年の調査でも明らかになっている。引き続き、超勤の縮減が最重要課題の一つであるとの認識のもと、労使で検証しながら、実効性ある対策を確保するよう求めておきたい。
(4) 人事評価制度について。評語区分の見直しに関わって、先日質疑を行った際に、「現行5段階と新しい6段階は連続しておらず、別のものとして捉えてもらう必要がある」との回答があったところだが、被評価者にとって、あるいは場合によっては評価者においても、そのように機械的に割り切れるものでもないと考える。より具体性のあるマニュアルの作成なども含めて予め職員が納得し得る対応が必要である。その上で、そのマニュアルの見直し、職員向け通知資料の作成については、来年3月末までには行うという理解でよろしいか。いずれにしても、資料やマニュアル等の整備・作成にあたっては、前広に情報提供いただき、その内容についても、私どもと十分協議をするよう求めておきたい。
(5)定年の段階的引上げについて。要求書を提出した際にも指摘したが、人事院・内閣人事局の調査によって、短時間勤務となった再任用職員の一定の部分が、本人の希望に反し定員の事情等によって短時間勤務とならざるを得なかったことが明らかになっている。フルタイム再任用のさらなる拡大に向けた環境整備を求めておきたい。
(6)非常勤職員の処遇改善について、各府省への一般的な働きかけは当然のこととして、本年7月の「非常勤職員給与決定指針」の改正を踏まえた期末・勤勉手当の支給月数の実態、すなわち常勤職員との均等待遇を基礎とするべきことについて、今後、内閣人事局として把握することも必要なのではないか。ご見解を伺いたい。

 また交渉参加者から、人員確保を要請する意見や、人事評価の評価結果の開示義務について、「省の人事当局と組合側とで解釈にズレがある。内閣人事局としての制度上の理解の在り方についてご教示願いたい」旨の質問があった。

 これに対し、松本審議官は次のとおり答えた。
(1)賃金改定に関わって、来年6月のボーナス改定については、経済の影響等を考慮したものとしてご理解いただきたい。
(2)新型コロナウイルス感染症について、今後の感染状況を見て引き続き対応してまいりたい。
(3)超過勤務手当の支給のために必要な予算確保ができる状況にあると認識しているが、過労死ラインを減らしていくためにも、人事院と連携して対応をはかっていく。
(4)マニュアルの見直し等については、今年度内を目指して検討しているところ。意見照会については今後検討したい。
(5)非常勤職員制度等について、人事院による指針の改正部分の取組状況については、必要に応じて人事院においてフォローアップがなされるものと認識しているが、各府省の非常勤職員について適切な処遇が確保されるよう、内閣人事局としても、人事院と必要な連携をしてまいりたい。
(6)人事評価制度に関するご質問の評価結果の開示の在り方については、別途正確な解釈を事務的にお返ししたい。

最後に、高柳副事務局長が「新型コロナウイルス感染症の再拡大が懸念されている。今後再び重大な局面を迎える可能性もあるが、現場の最前線で働く職員の安全確保が極めて重要である。我々も重々留意していくが、内閣人事局としても万全の対応を図っていただきたい。2月に改めて春季生活闘争に関わる要求書を提出する。本日いただいた回答は、現段階の回答として承った」と述べ、回答交渉を終えた。

 公務員連絡会は、今回の回答を踏まえて、今後、政府および人事院に対する2022春季生活闘争の取組を進めていく。