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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2023年度 公務労協情報 No. 8

政府に2023春季要求書を提出-2/20

 公務員連絡会は2月20日、委員長クラス交渉委員が河野国家公務員制度担当大臣に要求書を提出した(別紙)。要求書では、賃金の積極的な引上げ、超過勤務の更なる縮減と適切な人員の確保、非常勤職員等の処遇の改善などを求めている。今後、22日には人事院総裁に要求書を提出し、幹事クラス交渉、書記長クラス交渉などを配置し、3月23日の回答指定日に向け交渉を重ねていくこととしている。
 交渉の経過は次のとおり。

 河野国家公務員制度担当大臣との交渉は、17時30分から行われた。
 要求提出に当たって武藤議長は次のように述べ、今後十分交渉・協議を重ね、誠意ある回答を示すよう強く求めた。

 

 昨年の春闘で連合は、コロナ禍からの回復基調のもと「平均で定昇込み2.07%」の賃金の引上げを勝ち取ったが、先ごろ厚生労働省が公表した昨年の実質賃金は前年比0.9%減であり、賃金引上げが物価上昇に追いついていない実態が明らかとなっている。このような中、私どもの調査でも組合員の生活への不満度が近年になく高まっており、特に「昨年に比べ生活が苦しくなった」と回答した組合員が大きく増加している。エネルギーや食料品などの価格の高騰は、公務員にも多大な影響を与えており、政府におかれては、全職員の積極的な賃金引上げの重要性について強く意識していただくようお願いする。
 また、非常勤職員については、この間両立支援策の適用拡大などが図られるとともに、大臣の強いリーダーシップのもと、賃金においても常勤職員との均衡に向け改善が進みつつあると思う。その点に感謝を申し上げるとともに、さらなる処遇改善に向けてご努力いただくことをお願いする。
 他方、昨年の人事院勧告時の報告でも指摘のあった、国会対応業務が職員の長時間労働の大きな要因になっている点について、先ごろ内閣人事局が公表した実態調査結果を見ても、残念ながら、改善の兆しが見られていない。国会対応は、霞が関のみならず、内容によっては地方に勤務する職員にも影響を与えるものであり、私どもとしても看過するわけにはいかない。
 このため、私どもは今月から来月にかけて、野党を中心に国会審議への対応について、超過勤務時間の縮減に向け協力すること、特に質問通告時間については、この間の国会における申し合わせ等を踏まえ「前々日の正午までの質問通告」を再度徹底することなどを申し入れる予定であることを報告しておきたい。
 最後に、これから、事務レベルでの交渉を積み重ね、3月23日の最終回答の際には、河野大臣から、直接、春の段階の誠意ある回答を求める。

河野太郎 国家公務員制度担当大臣


 これに対して河野大臣は、「公務員の方々が国民全体のために献身的に職務に当たられていることに対し、敬意を表する。ただいま、要求書を受け取り、要旨は承った。要求事項については、検討の上、しかるべき時期に回答させていただく。優秀な人材の確保のために長時間労働を是正し、国家公務員の働き方改革を実現するため、様々な取組を進めている。先月公表した国会対応業務に関する実態調査の結果、依然として国会対応業務に時間を要している実態が明らかとなった。国会に対しては、質問通告の早期化に引き続きご協力をお願いするとともに、政府側として、国会対応業務の効率化を進めてまいる。皆様からも関係各方面に対して、質問通告の早期化を働きかけていただけるとのことで、大変心強く思う。様々な取組について、引き続き、現場の実情を含め、皆様からもご提案をいただきながら、前に進めるのでご協力をお願いする」と応え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。


(別紙)


2023年2月20日

内閣総理大臣
 岸 田 文 雄 様

公務員労働組合連絡会
議 長  武 藤 公 明
(公 印 省 略)

要 求 書

 

 貴職におかれましては、公務員人事行政にご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、新型コロナウイルス感染症がなおも社会・経済活動に大きな影響を与え続ける中、国民生活の基盤を担う公務・公共サービスの現場では、国民の信頼と期待に応えるべく、職員は高い使命感と責任感を持って懸命の奮闘を続けています。これらの職員の奮闘に応え、職員が安心し、安全に働くことのできる勤務環境の整備や、必要とされる人員と適切な賃金・労働条件の確保等が喫緊の課題といえます。
 そのような中、我が国における社会・経済情勢は、総務省調査において2022年12月の消費者物価指数が前年同月比で4%上昇するなど、電気、ガソリン等のエネルギー価格をはじめ、あらゆる物価が高騰する局面が続いています。このような状況のもと、我々が実施した調査においても前年に比べて生活が「苦しくなった」と回答した組合員の割合が大幅に増加する等、公務・公共サービスの現場で働く労働者の生活は大変厳しくなっており、全世代にわたる積極的な賃上げが求められています。
 公務員連絡会は、これらの情勢認識に基づき「人への投資」と月例賃金の改善を積極的に求める連合2023春季生活闘争に結集し「底上げ」「底支え」「格差是正」をめざして取組を進めます。貴職におかれましては、下記事項の実現に向けて、最大限努力されるよう要求します。

1.働き方改革の推進及び賃金・労働条件の確保等について
(1) 公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、公務員等公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備をはかること。
(2) 働き方改革について、同一労働同一賃金原則に基づく非常勤職員等の待遇改善と雇用の確保、長時間労働の是正、高齢職員の一層の活用等を進めること。

2.2023年度賃金について
(1) 職員の2023年度賃金を積極的に引上げること。
(2) 超過勤務手当の全額支給を前提に、独立行政法人等を含めた公務員給与の改定に必要な財源を確保すること。

3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度の抜本的改善をめざし、公務員連絡会が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取組を推進すること。当面、国家公務員の非常勤職員制度について、法律上明確に位置付け、勤務条件等について、同一労働同一賃金及び常勤職員との均等待遇の原則に基づいて、関係法令、規則を適用すること。
(2) 給与については、2021年7月に改正された「非常勤職員給与決定指針」等に基づき、各府省における実態を把握するとともに、着実な待遇改善が行われるよう各府省を指導すること。特に、給与の改定時期については、常勤職員と同様とすること。また、2023年度については「時給1,150円以上」を確保すること。
(3) 両立支援制度については、出生サポート休暇、配偶者出産休暇・育児参加のための休暇の新設および、産前・産後休暇の有給化、育児休業等の取得要件の緩和等について周知し、取得しやすい職場環境の整備を行うこと。
(4) 期間業務職員制度について、当該職員の雇用の安定と待遇の改善となるよう、適切な運用に努め、必要な改善措置を講じること。あわせて、常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を「均等待遇の原則」に基づき抜本的に改善すること。

4.新型コロナウイルス感染症への対応について
 国民生活の安心と安全を支える基盤となる公務公共サービスに従事する職員の勤務条件等の確保と職場環境の整備をはかること。

5.労働時間、休暇及び休業等について
(1) ワーク・ライフ・バランスを確保するため、公務における年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の改善・拡充などを実現すること。
(2) 超過勤務縮減に向け、使用者の責務として各府省における取り組み状況を把握し必要な措置を講じるとともに、真に実効性のある超過勤務の縮減策を直ちに実行すること。
(3) 新型コロナウイルス感染症、大規模な自然災害への対応等も踏まえた適切な人員を確保すること。
(4) フレックスタイム制および休憩時間制度の柔軟化について制度の周知を徹底するとともに、制度の設定にあたっては職員の健康及び福祉に十分考慮すること。
(5) 公務において、国内外の事例・基準等を踏まえたうえで「勤務間インターバル」を措置すること。

6.障害者雇用について
 公務職場における障害者雇用については、法定雇用率の達成を遵守するとともに、雇用される障害者が、無理なく、かつ安定的に働き続けることができるよう、政府としての役割を適切に果たすこと。

7.女性公務員の労働権確立について
(1) 公務における女性の労働権確立を人事行政の重要課題として位置付け、政府全体として積極的に取り組むこと。
(2) 「国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進のための取組指針」に基づく各府省の取組計画の着実な実施に向け、積極的な役割を果たすこと。

8.定年の段階的引上げに伴う各種施策について
定年の段階的引上げが完成するまでの間、事務・事業の円滑な遂行を実現し、組織の活力を維持・向上させるため、各府省において以下の施策を講ずること。
(1) 再任用希望者について、2013年の閣議決定に基づき、フルタイムを中心とする職員の希望通りの再任用を実現すること。
(2) 毎年度において着実な新規採用を実現するとともに、必要な定員を確保すること。

9.福利厚生施策の充実について
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握に基づき、その抜本的な改善・充実をはかること。
(2) 「国家公務員健康増進等基本計画」の着実な実施をはかるため、政府全体としての実施体制を確立し、使用者としての責任を明確にして積極的に対応すること。
(3) 心の健康づくりについては、管理職員の意識改革はもとより勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策を着実に実施すること。
(4) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
(5) ハラスメントの防止について、問題の重要性を認識し、一層有効な対策を着実に推進すること。とくに、パワー・ハラスメントの防止対策については、人事院規則10-16に基づき政府全体で取り組むこと。

10.公務員制度改革について
 ILO勧告に則り、国家公務員制度改革基本法に基づく自律的労使関係制度を確立するため、国家公務員制度改革関連四法案(2011年6月3日国会提出)における措置について、国家公務員法等改正法案の附帯決議(2014年3月12日衆議院内閣委員会及び同年4月10日参議院内閣委員会)に基づき、公務員連絡会との合意により実現すること。

11.その他の事項について
国が民間事業者等に業務委託や入札等により、事務・事業の実施を委ねる場合においては、公正労働基準の遵守を必要条件とすること。

以 上