TOP 公務労協情報 2024春季生活闘争中央行動を実施-3/12
公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2024年度 公務労協情報 No. 16

2024春季生活闘争中央行動を実施-3/12

公務員連絡会は12日、2024春季要求の実現をめざして中央行動を実施した。全電通会館で開かれた中央集会には、全国から約200人が集まった。賃金の積極的な引上げ、非常勤職員の待遇改善、超勤縮減施策の具体化などをめざし、回答指定日に向け闘う決意を固めた。

 中央集会では、冒頭、主催者を代表して武藤議長が「能登半島地震に対し、昼夜を問わず復旧作業に全力を挙げておられる公務・公共を担う仲間の皆さんに敬意を表する。1日も早い復旧・復興に向けて、我々も全力で支援したい。
連合によれば、3月4日時点の賃上げ要求の平均は5.85%、17,606円であり、5%を上回ったのは1994年以来30年ぶりとのこと。既に満額回答を引き出している組合もあり、大企業では積極的な賃上げに応じる動きがあるが、雇用の約7割を占める中小企業に賃上げ機運をどう社会全体に波及させるかが課題となっている。企業倒産の増加など、中小・地場企業の経営は厳しい状況にあるが、日商による中小企業を対象とした調査では、4月以降に賃上げを予定する企業が61.6%、このうち36.6%が3%以上の賃上げを計画していると発表するなど、明るい兆しも期待できる。いずれにしても、人事院の民調に反映させるためにも、中小・地場の賃上げが極めて重要であり、支援していく必要がある。
 公務員連絡会は、2月20日に川本人事院総裁と河野国家公務員制度担当大臣に要求書を提出して以降、賃金引上げをはじめとする労働条件の改善に向け、各級段階での交渉・協議、人事院地方事務局への対応、各構成組織の取組などを積み上げてきている。3月19日の川本総裁と22日の河野大臣との委員長クラスによる最終回答交渉に向け、闘争態勢を堅持しつつ取組を強化しなければならない」と強く訴えた。

このあと基調提起に立った森永事務局長は、佳境を迎える連合の民間春闘情勢を報告するとともに、公務における春闘課題に触れながら、この後行われる人事院、内閣人事局に対する書記長クラス交渉におけるポイントを中心に提起した。

構成組織決意表明には、鈴木国公連合・国税労組書記次長、林自治労総合労働局長、深江日教組青年部部長が、それぞれの取組課題を報告し、全力で闘い抜く決意を述べた。

最後に、武藤議長の発声による「団結がんばろう」で、集会を締めくくった。

 この日に行われた人事院給与局長、職員福祉局長との交渉経過は次のとおり。

<職員福祉局長交渉の経過>
 荻野職員福祉局長との交渉は、14時30分から行われた。
 森永事務局長が、現時点での回答を求めたのに対し、荻野局長は次のとおり答えた。

1.労働時間の短縮、休暇等について
○ 超過勤務の縮減等については、勤務時間調査・指導室において、各府省を直接訪問して勤務時間の管理等に関する調査を令和4年度から実施しており、他律部署・特例業務の範囲が必要最小限のものとなるよう指導等を行っている。令和6年度以降は、調査対象を増加させるなど、勤務時間の管理等に関する調査・指導を更に充実させていくこととしており、引き続き、適切に各府省に対する指導を行ってまいりたい。

○ フレックスタイム制を始めとする柔軟な働き方に対応した勤務時間制度については、これまでも職員団体の意見も聴きながら見直しを行ってきており、今般の措置内容も含め、今後とも職員団体の意見も聴きながら、適切に対処してまいりたい。

○ 公務における勤務間のインターバル確保については、昨年の勧告時に報告したとおり、国家公務員についても、取組を早期に推進していく必要があることから、本年4月に、勤務間のインターバル確保に関する努力義務規定を人事院規則に設けることとしている。その上で、適切な行政サービスの提供も重要であることから、現状、制度上の厳格な基準として、人事院規則等で「確保すべき時間」を措置することはせず、各職場において、どの程度の時間を確保することを目指すのかの参考となるよう、「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の最終報告(令和5年3月)で示された「11時間」を目安として示す方向で検討している。

○ 両立支援制度を含む職員の休暇、休業等については、情勢適応の原則の下、民間における状況等を踏まえて、必要な見直しを行ってきており、このような社会情勢等も踏まえながら、必要な制度改善の検討を行ってまいりたい。
 
2.非常勤職員の休暇等について
○ 非常勤職員の休暇制度等については、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、結婚休暇の新設及び忌引休暇の対象職員の要件の削除(平成31年1月施行)、夏季休暇の新設(令和2年1月施行)、出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の新設並びに産前休暇・産後休暇の有給化(令和4年1月施行)などがある。
 今後も、引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。

○ 非常勤職員の任用、勤務条件等については、その適切な処遇等を確保するため、法律や人事院規則等で規定しており、これまでも職員団体の意見も聴きながら民間の状況等も考慮しつつ見直しを行ってきているところである。なお、令和5年の勧告時報告において言及した「非常勤職員制度の運用等の在り方の検討」については、
各府省の実態や関係者からの御意見等を踏まえつつ、公募要件の在り方を含め適切な運用等の在り方について検討を進めている。

3.障害者雇用について
○ 令和5年6月1日現在において、国の機関全体の実雇用率は2.92%で、全ての機関において法定雇用率(2.6%)を達成しているものの、国の法定雇用率は令和6年4月から2.8%、同8年7月より3.0%と、段階的な引上げが予定されている。
 人事院としては、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
 このほか、厚生労働省と連携して、各府省における合理的配慮事例の情報共有などの支援を行っており、今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。

4.健康・安全の確保等について
○ ハラスメント防止対策については、ハラスメント防止等の措置を講じるための人事院規則等に基づき、これまで、研修教材の作成・提供や、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催など、各府省に対する支援を行ってきている。
 また、令和5年度から「幹部・管理職員ハラスメント防止研修」について、組織マネジメントの観点も反映したより実効性のあるものとなるよう実施する等の取組を行っている。
 今後も、各府省においてハラスメント防止対策が適切に実施されるよう、必要な支援・指導を行ってまいりたい。また、苦情相談を含めた公平審査制度において、パワー・ハラスメントに関する事案についても人事院の役割を果たしてまいりたい。

○ 心の健康づくり対策については、「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として、職員の意識啓発のためのガイドブックの作成、心の不調を未然に防止するためのストレスチェックの導入、心の不調への早期対応のための「こころの健康相談室」の運営、円滑な職場復帰の促進、再発防止のための「こころの健康にかかる職場復帰相談室」の運営や「試し出勤」の活用に取り組んでいる。
 なお、「こころの健康相談室」については、より相談しやすい環境の整備に資するため、オンラインによる相談を令和4年度から一部の窓口で開始し、令和5年7月には、全ての窓口でオンライン相談に対応できる体制としている。引き続き、オンライン相談の活用を周知するなど、取組を一層推進してまいりたい。

 回答に対し、森永事務局長は以下の課題について、職員福祉局長の見解を質した。

(1)能登半島地震への対応について
 能登半島地震について各省各庁では、様々な対応を行っており、現地の自治体職員や被災地に救援に入っている消防職員、警察、自衛隊、国家公務員、地方公務員、多くの公共サービスに関わる労働者など、災害対応にあたっている人たちをしっかり支えていくことが大切であると考える。能登半島地震における人事院としての対応状況如何。

(2)長時間労働の是正について
①超過勤務時間の上限等に関する人事院規則が改正されて以降、この間の人事院による、「勤務時間調査・指導室」の設置など様々な取組は一定評価するが、各府省において、人事院規則に基づく整理・分析・検証等が行われているにも関わらず超過勤務時間は一向に減っていない。このような現状を踏まえ、何が課題で、どこを見直していけばいいのか人事院の認識如何。
②長時間労働の是正に向けては、勤務時間の「見える化」が極めて重要だと認識しているが、この間の人事院の取組状況如何。
③超過勤務手当の全額支給も踏まえて、超過勤務の縮減がより一層強く求められることから、公務員連絡会としても現場段階から引き続き縮減に向けて出来うる取組を進めていく。その上で、人事院も勧告時報告で指摘しているとおり、業務量に応じた定員・人員の確保が課題となる。一方で、岸田首相は、現在開会中の通常国会での施政方針演説で「デジタルの力を生かして、人手不足が深刻化する中、公務員の数を増やさずに行政サービスを持続できる環境をつくる」と述べている。極めて難しい課題ではあるが、長時間労働の是正と要員確保について、現時点での人事院の認識如何。
④本年4月から、職員の勤務間のインターバル確保に係る各省各庁の長の責務(努力義務)を人事院規則に設けることで、公務員連絡会との協議も踏まえて、現在作業を行っていると承知している。しかしながら、職場を見たときに、本来、臨時・緊急的な場合に限られる超過勤務が常態化するなかで、その実効性をいかに確保していくかが重要だと認識しているが、実効性確保に向けて今後、人事院としてどのような対応をはかっていくのか検討状況如何。

(3)非常勤職員等の労働条件の改善について
 非常勤職員の待遇改善に向けて、この間、人事院としても両立支援の分野を中心に休暇制度等の見直しを進めてきたことは大いに評価するが、「無給休暇の有給化」に向けた改善が残された課題であると認識している。人事院においても様々な観点から検討を進めていると思うが、課題となる点なども含めて検討状況如何。

(4)ゼロ・ハラスメントに向けた取組について
 昨年の公務員人事管理に関する報告で、「ゼロ・ハラスメントを実現するとの目標を掲げ、従来以上の具体的取組が必要である」としていたが、この点に関しては、公務員連絡会としても構成組織段階において、職場からあらゆるハラスメントを無くすための職場点検、相談対応など引き続き取り組んでいく。人事院においては、各府省のハラスメント相談対応担当者を対象とするアンケート調査結果を踏まえて、令和5年度中に有識者ヒアリングを実施、令和6年度にかけて施策を逐次実施すると承知しているが、現状如何。

 これに対し、荻野職員福祉局長は次のとおり回答した。
(1)能登半島地震への対応について
 職員福祉局としては、災害時の特別休暇7日間では自宅の復旧作業等が難しいことから、職務専念義務の免除に関する通知を1月5日に発出している。また、公務災害補償についても、適切な助言・指導を行っていく。

(2)長時間労働の是正について
①長時間労働の是正については思うように進んでいないのは事実。各府省の業務改善はもちろん、そうした取組を支援するため「勤務時間調査・指導室」を設置し指導をしているところ。また一府省限りでは対応が困難な課題については人事院としても関係各方面に様々に協力依頼を行うなど対応している。
 昨年の各府省人事担当者のアンケート調査を踏まえた内閣人事局への要請などもあり、時限ではあるが超過勤務縮減のための定員を100名措置するなど成果も出てきている。
②勤務時間の「見える化」については、客観的把握が重要。職員の勤務時間の管理を簡便に行うためにはシステムが必要であり、現在デジタル庁や内閣人事局と協力して新しいシステムの検討を進めている。
③長時間労働の是正に向けては、DXなどによる業務の削減・合理化を進めた上で要員確保の話になると考える。
④勤務間インターバルの確保については、一般職常勤職員を対象にアンケート調査を行う予定であり、その結果を分析することで、考え方の浸透や課題の洗い出し、実効性の確保等を検討していく。ただし、いついかなる時も11時間を必ず確保するということではなく、11時間を確保できない時に、いかに職員の健康を守るのかということも含めての検討だと考えている。

(3)非常勤職員等の労働条件の改善について
 非常勤職員の労働条件については、今後も民間の状況を踏まえ必要な措置を講じていきたい。皆さんから何度も要望を受けていることについては十分認識している。

(4)ゼロ・ハラスメントに向けた取組について
 一昨年の冬にハラスメント相談員を対象にアンケート調査を実施した。その結果、実際に相談を受けた割合が2割で、相談を受けても対応方法が分からないという回答も見られた。現在は相談をする側の職員を対象に実施したアンケート調査を取りまとめており、その結果を踏まえ対策を考えていく。

 また、書記長クラス交渉委員からは、「能登半島地震など応援職員の超勤の問題がある。また、復旧・復興に関しては省庁を超えて横断的に対応する必要のある課題があるか、これに対してうまく調整できないと超勤が増加するような問題もある」という意見があり、荻野職員福祉局長は「現場で起きているリアルタイムの課題については是非お聞かせ願いたい。省庁を超えた課題についても我々ができることは対応していきたい」と回答した。

 最後に、森永事務局長から「主要な課題に関わる現状について人事院と認識は共有することができた。職員福祉局が所掌する課題は、公務員連絡会としても同じ方向で改善に向けて進むことができるものと考えており、引き続き、様々な場面で積極的に協議をしていきたい。能登半島地震の復旧をはじめ、厳しい環境のなかで、必至に業務に従事している組合員のためにも、本日の議論も含めて、19日には、要求に沿った前向きな回答がなされるよう求めておく」と要請し、職員福祉局長交渉を締めくくった。

<給与局長交渉の経過>
 佐々木給与局長との交渉は、15時から行われた。
 森永事務局長が、現時点での回答を求めたのに対し、佐々木局長は以下のとおり答えた。

1.賃金要求について
○ 最近の経済情勢についてみると、2月の月例経済報告は、景気は「このところ足踏みもみられるが、緩やかに持ち直している。」と基調判断を概ね維持しており、先行きについては、「緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。」等としているところである。また、1月の景気動向指数の速報においては、「足踏みを示している」との基調判断を示しており、今後の景気の動向を注視している。

○ 次に雇用情勢についてみると、本年1月の有効求人倍率は1.27倍と昨年同月比で0.08ポイント低下し、また、完全失業率は2.4%と昨年同月比で0.1ポイント低下している。

○ 今年の春闘では、連合は、賃上げ要求について「経済社会のステージ転換を着実に進めるべく、すべての働く人の生活を持続的に向上させるマクロの観点と各産業の『底上げ』『底支え』『格差是正』の取り組み強化を促す観点から、前年を上回る賃上げを目指す。賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上の賃上げを目安とする。」との目標を掲げ、その実現に向けて取組を進めることとしているものと承知している。

 経団連は、「物価動向への対応はもとより、2023年より起動を始めた『構造的賃金引上げ』の実現に向けて、賃金引上げのモメンタムの維持・強化を継続できるか、極めて重要な年と位置付けられる。人材の確保・定着に向けた『人への投資』の重要性を踏まえながら、『分厚い中間層』の形成に向けた企業の社会的な取組みとの認識の下、各企業において、2023年以上の意気込みと決意をもって、賃金引上げの積極的な検討と実施を求めたい。」とした上で、「月例賃金の引上げにあたっては、物価上昇が続いていることに鑑みれば、制度昇給に加え、ベースアップ実施を有力な選択肢として検討することが望まれる」としているところである。

 経済情勢が不透明感を増す中で、順次行われる経営側からの回答の動向を注視していくこととしている。

○ いずれにしても国家公務員の給与について、人事院としては例年と同様、情勢適応の原則に基づき、国家公務員の給与と民間企業の給与の実態を精緻に調査した上で精確な比較を行い、必要な勧告を行うことを基本に臨むこととしている。

○ 社会と公務の変化に応じた給与制度の整備については、現下の人事管理上の重点課題に対応するため、①人材の確保への対応、②組織パフォーマンスの向上、③働き方やライフスタイルの多様化への対応のために必要な制度整備に取り組むこととしている。取組に当たっては、関係者の意見を聴きながら検討作業を進めることとしており、措置内容の具体化に向け、既に議論を始めさせていただいているところである。引き続き職員団体の意見も伺ってまいりたい。

 初任給については、民間における近年の引上げトレンドの中で、特に地方において大きく下回っている状況にあり、全国で行政サービスを提供する公務が必要な人材を確保していく上で、大きな課題であると認識しているが、具体的な初任給の水準については、今後の民間企業における初任給の改定状況等を踏まえながら検討してまいりたい。

 評価制度の検証に関してご要望をいただいているが、新たな評価制度の運用や評価結果の給与等への活用が各府省において適正に行われるよう、引き続き人事院としても制度周知等に努めてまいりたい。なお、新評価制度のフォローアップについては、制度を所管する内閣人事局に対し、引き続き働きかけてまいりたい。

 通勤手当は、職員の通勤に要する経費を補助することを目的とするものではあるものの、官民比較の対象外給与であり、特に遠距離の通勤者に対し、より高額の手当を支給することについては、民間企業における通勤手当の支給状況を踏まえ、各方面の理解を得ながら合理性や納得性のある内容となるよう必要な検討を進める必要がある。そのため、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備の中で一体的に対応し、本年に成案を得ることを目指して取り組んでいるところではあるが、具体的な見直しの内容については、民間企業における通勤手当の支給状況も踏まえて必要な検討を進めていきたいと考えている。

 本年予定している地域手当の見直しにおいては、令和5年の勧告時報告において述べたとおり、最新の民間賃金の反映と併せ、現在、市町村を単位としている級地区分の設定について、広域化するなど大くくりな調整方法に見直すことにより、国家公務員の地域をまたぐ人事異動時の影響の緩和や、給与事務負担の軽減等を図りたいと考えている。
 具体的にどのように大くくり化を行うのかなどについては、本年見直しの成案が得られるよう、現在検討を行っているところである。

 なお、特地勤務手当等については、国勢調査や全国道路・街路交通情勢調査の結果等の最新の結果等の分析を現在進めており、本年中に見直しの成案が得られるよう、必要な検討を行っていきたいと考えている。
 また、寒冷地手当の見直しについては、令和4年4月に気象庁が公表した指標となる最新の気象データである「メッシュ平年値2020」の内容等に関して現在分析を進めており、これについても本年中に成案が得られるよう、必要な検討を行っていきたいと考えている。

2.非常勤職員の給与について
○ 非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、指針に基づく各府省の取組状況等について定期的にフォローアップを行っているほか、機会を捉えて各府省から状況を聴取し、必要な指導を行ってきているところである。
 昨年4月に、給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与についても常勤職員に準じて改定するよう努める旨を追加したところであり、この改正に係る各府省の取組状況についても、フォローアップを含め、引き続き適切に対応してまいりたい。

3.高齢者雇用施策について
○ 定年年齢の引上げについて
 定年の段階的引上げに係る各種制度が各府省において円滑に運用されるよう、引き続き、制度の周知や理解促進を図るとともに、運用状況の把握に努め、必要に応じて適切に対応してまいりたい。
 定年の段階的引上げに伴う級別定数措置については、今後とも、役降り後の職務や異動先、ポスト数のほか、定年引上げ後の昇格ペースを含む人事運用などに関する各府省・人事グループの検討を踏まえた上で、必要な級別定数を措置することとしている。
 また、定年の段階的引上げ期間中の暫定再任用制度においても、できるだけ職員の希望が叶い活躍していただけるよう、人事院としても引き続き状況の把握に努め、必要な取組を進めてまいりたい。

○ 60歳前・超の給与カーブの在り方について
 65歳定年の完成を視野に入れた60歳前・60歳超の各職員層の給与水準(給与カーブ)の在り方については、今後、令和6年の勧告以降も見据え、本年から段階的に定年が引き上げられる中での公務における人事管理の在り方の変化や、民間における高齢期雇用や高齢層従業員の給与水準の状況を注視しつつ、職員団体の意見も聴きながら、人事管理に係る他の制度と一体で引き続き検討を行ってまいりたい。
 なお、暫定的に導入された給与水準の7割措置を受ける60歳超職員は、当面は官民比較の対象としないことが適当と考えており、当該職員の比較上の取扱いについては、給与カーブの在り方の検討と一体的に研究していきたいと考えている。

○ 再任用職員の手当について
 「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」のメニューのひとつとして位置づけている再任用職員の給与については、近年 、高齢層職員の能力及び経験の活用が進められてきている中で、再任用職員が公務上の必要性により転居を伴う異動を余儀なくされるなど、人事運用の変化が生じてきている。こうした状況を踏まえ、人事院としては、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備の一環として、定年前再任用短時間勤務職員や暫定再任用職員について多様な人事配置を可能とし、その活躍を支援するため、再任用職員に支給される手当の範囲について拡大することを検討しており、各府省における人事管理の状況等を踏まえつつ、職員団体の意見も聴きながら、引き続き必要な検討を行ってまいりたい。

 回答に対し、森永事務局長は以下の課題について、給与局長の見解を質した。

(1)能登半島地震への対応について
 今年の1月1日、石川県能登地方を中心に発生した能登半島地震における給与局としての対応状況如何。

(2)賃金要求・諸手当について
①今年の賃上げに向けては、政労使において、「昨年以上の賃上げ」に向けた方向性が一致しており、既に、昨年を上回る水準で妥結されたとの報道にも多く接しているところだが、改めて、このような2024春季生活闘争を巡る情勢に関する認識如何。
②本年の職種別民間給与実態調査に関わって、官民給与の比較方法・企業規模およびスケジュールについては、現行と変更がないことを確認したい。なお、能登半島地震の被災地の取扱いを含めて、現状如何。
③昨年の民調結果を見ると、ベースアップ実施事業所における配分状況は、一律定率と一律定額をあわせて63.5%となっている。また、経団連の2023年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果でも同様の傾向となっているほか、ベースアップを実施した理由では、物価への対応、社員のモチベーション維持・向上、人材の確保・定着率の向上が最もあてはまるものとの結果となっている。初任給について、大きな課題であると認識しているとの回答については、公務員連絡会としても問題意識は共有するが、改めて、本年の要求は、「全ての職員の賃金を積極的に引き上げること」であることを強調しておくが、見解如何。
④冒頭の局長の回答において、特地勤務手当と寒冷地手当について、本年中に見直しの成案が得られるよう、最新の調査結果、データの分析、検討を行っているとのことだが、あくまでも最新データ等を反映するだけの見直しとなるのか、また、本年の勧告で措置するという理解でよいか。言わずもがなであるが、検討にあたっては十分な交渉・協議を求めておく。

(3)「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について
 今回のいわゆる給与制度のアップデートは、若年層から再任用を含む高齢層に至るすべての職員を対象としており、また俸給及び各種手当を取り扱う総合的な見直しであることを踏まえ、職員各層から理解を得られ、その意欲を引き出すものとならなければならない。一方で、職員の年齢、勤務地、家族構成などの違いから、措置内容によっては、プラスになるようなことばかりではなく、利害が生じてしまうような見直しの項目が入っている。また、地方公務員、独立行政法人職員、政府関係法人職員等にも広く影響を与えうる課題であると認識している。出口はあくまで8月の人事院勧告で成案を得るということとなるが、引き続き、検討に当たっては、公務員連絡会との十分な交渉・協議、合意に基づく対応を強く求めておく。局長の認識如何。

 これに対し、佐々木給与局長は次のとおり回答した。

(1)能登半島地震への対応について
 給与関係として、特殊勤務手当である災害応急作業等手当について対応している。具体的には、被災地で災害応急作業等にあたる職員に適切に手当が支給されるよう、適用対象者と手当額の見直しを行ったところ。その他では、職専免に伴う非常勤の給与の取り扱いや通勤手当の扱い等について通知を発出している。

(2)賃金要求・諸手当について
①今春闘に関しては先程申し上げた通りである。今後、中小企業を含め民間企業の実態をしっかりと把握し対応していく。
②本年の民調については、比較企業規模、スケジュールなど従来通りの予定である。能登半島地震を受け状況を注視していたが、現状では例年通り実施可能という前提で作業を進めている。
③本年の賃金改定について、官民比較の結果がどうなるのか現時点では分からないが、民間の初任給の状況等も踏まえつつ対応を検討していく。ご要望として受け止めさせていただく。
④特地勤務手当について、最新の国勢調査等の結果を分析して検討していく。ただし本年の勧告においてとは限らない。寒冷地手当については最新のデータである「メッシュ平年値2020」や民調結果等を踏まえて検討することになる。こちらは、手当の支給地域が法律に記載されており、法律事項が動く場合には勧告が必要になってくるので、夏の勧告期を念頭に検討しているところ。

(3)「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について
 この課題については、当然、皆さんと意見交換をしながら対応を進めていくことを考えている。

 交渉委員からは、「人事院が労働基本権制約の代償機関であることの認識を改めて持つよう求めたい。昨年の勧告について、全職員が最低でも1000円の引上げとなったことは、一定評価するが、現場の組合員からは『1000円では低い』という声があるのも実態。物価高の中で生活が苦しくなっていることによるものであり、改めて組合員の期待に応える賃上げを求める」「再任用職員は常勤職員と同様の働きをしている。定年前職員や定年延長職員との均衡も踏まえつつ、賃金単価そのものの見直しを検討すべきではないか」「民調における比較企業規模の問題について見直しを求める意見が複数あると認識している。この点についての見解はどうか」との発言があった。
 これに対し佐々木給与局長は「昨年の勧告の評価については認識しておく。再任用職員の賃金について、民間の再雇用者の賃金水準を毎年確認し、分析しているが概ね均衡しているものと承知。その上で、今回アップデートの中で手当関連の改善を検討していることに理解いただきたい。比較企業規模について、内外で様々な意見があることは承知している。その上で、昨年の勧告時報告においてアップデートに関連し、『令和6年以降も給与水準の在り方、65歳定年を見据えた給与カーブの在り方等については、引き続き分析、研究、検討』としているところである」と答えた。

 最後に、森永事務局長は、「先日28日の人事行政諮問会議において、公務員連絡会としてヒアリングに対応してきたが、私からは、霞が関(本府省庁)に重点を置きすぎているのではないかと指摘した上で、国家公務員全体(地方出先機関を含め)を意識して今後の検討を進めるよう求めてきた。いずれにせよ、今後の議論動向を注視していくこととする」と述べた上で、「春の段階で賃金について具体にはならないことは十分理解はしつつも、先ほど交渉委員から指摘があった、現場実感も含めて、春季要求では、全ての職員の賃金について積極的な引き上げを求めるという我々の強い姿勢というものをぜひ人事院全体で共有をいただき、勧告期に向けて協議していきたい。能登半島地震の復旧をはじめ、厳しい環境のなかで、必至に業務に従事している組合員のためにも、19日には、要求に沿った前向きな総裁回答がなされるよう求めておく」と要請し、給与局長交渉を締めくくった。