2025年春季要求事項で幹事クラスが人事院と交渉-3/5
公務員連絡会は3月5日、人事院職員団体審議官との交渉を実施し、中間的な回答を引き出した。公務員連絡会は、今後行う書記長クラスの交渉において、より具体的かつ前向きな回答を要求し、回答指定日に向けて交渉を積み上げていくこととした。
<人事院職員団体審議官交渉の経過>
木村職員団体審議官との交渉は、3月5日10時30分から行われた。
冒頭、高柳副事務局長が中間的な回答を求めたのに対し、木村職員団体審議官は「2月19日にいただいた公務員連絡会からの要求書については、現在最終回答に向け、検討を行っているところである。最終回答は、3月18日以降にさせていただく予定であるが、本日、私からは、現段階における状況について、回答させていただく」と述べ、次のとおり答えた。
1.賃金要求について
国家公務員の給与改定については、今後とも、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢に立ったうえで、職員団体の意見も聴きながら、適切に対処してまいりたい。
2.中長期的な賃金関連課題について
特地勤務手当等については、国勢調査や全国道路・街路交通情勢調査の最新の結果等の分析を現在進めており、令和7年度に支給官署の見直しの成案が得られるよう、必要な検討を行ってまいりたい。
交通用具使用者の通勤手当については、民間企業における通勤手当の支給状況について定期的に調査を行い、その結果を踏まえて手当額を改定している。今後とも、ガソリン価格の動向にも留意しつつ、定期的に民間企業の支給状況を把握し、ガソリン価格の大きな変動が相当期間継続することが見込まれ、民間企業の距離段階別定額制の支給月額との格差が一定程度引き続く場合には、民間企業の距離段階別定額制の支給状況を踏まえて、必要な検討を行ってまいりたい。
職務ベースの報酬設定、能力・実績主義の徹底に必要となる施策の実装に向けては、人事行政諮問会議の議論も踏まえつつ、職員団体を含む関係者の意見も聴きながら、必要な検討を行ってまいりたい。
65歳定年の完成を視野に入れた60歳前も含めた給与カーブの在り方については、段階的に定年が引き上げられる中での公務における人事管理の在り方の変化や、民間における高齢期雇用や高齢層従業員の給与水準の状況を注視しつつ、職員団体の意見も聴きながら、職員の役割・貢献に応じた処遇の観点から、人事管理に係る他の制度と一体で引き続き検討を行ってまいりたい。
3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
非常勤職員の任用、勤務条件等については、その適切な処遇等を確保するため、法律や人事院規則等で規定しており、これまでも職員団体の意見も聴きながら民間の状況等も考慮しつつ見直しを行ってきているところである。
非常勤職員の任用については、期間業務職員の再採用時における公募3年要件の見直しを含め、制度が各府省において適切に運用されるよう、引き続き、制度の周知や理解促進を図るなど適切に対処してまいりたい。
非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、各府省において適正な給与の支給が行われるよう、必要な指導を行ってきている。この指針については、非常勤職員の処遇を確保する観点から累次改定を行ってきており、令和5年4月からは、給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与についても、常勤職員に準じて遡及改定するよう努める旨を追加したところである。各府省においては、この指針に基づく取組が進んでいるところであり、引き続き、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでまいりたい。
非常勤職員の休暇制度等については、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、夏季休暇の新設、出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の新設並びに産前休暇・産後休暇の有給化などがある。また、令和6年12月には、病気休暇(私傷病)について有給の休暇へ見直すとともに、子の看護休暇等及び短期介護休暇の取得要件の緩和などの見直し(令和7年4月施行)を行ったところである。
今後も、引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。
4.労働時間の短縮及び休暇、休業等について
○ 超過勤務の縮減等について
超過勤務の縮減等については、勤務時間調査・指導室において、各府省を直接訪問して勤務時間の管理等に関する調査を令和4年度から実施しており、他律部署・特例業務の範囲が必要最小限のものとなるよう指導するなどしている。令和6年度は、調査・指導を更に充実させる観点から、対象となる職員数を増やして実施しており、引き続き、適切に各府省に対する指導を行ってまいりたい。
○ 休暇・休業制度について
両立支援制度を含む職員の休暇、休業については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきたところである。今後も社会情勢等を踏まえつつ、制度の改善や環境整備に努めていきたい。また、昨年5月に成立した育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律(令和6年法律第42号)の内容も踏まえた制度の改正については、改正内容が着実に実施されるよう、各種資料の更新・充実や各府省等への周知・徹底を図ってまいりたい。
○ 勤務間のインターバル確保等について
勤務間のインターバル確保については、人事院規則や局長通知の内容を各職場へ浸透させることが重要と考えており、職員向けの分かりやすい周知資料を作成・公表しているほか、各府省に対しても、現在実施している勤務間のインターバル確保に係る調査・研究事業などの機会を通じ、随時周知依頼を行っているところである。
各府省における在宅勤務等手当の運用状況については、各府省の事務負担を考慮しつつ、令和7年国家公務員給与等実態調査において把握してまいりたい。
5.障害者雇用について
令和6年6月1日現在において、国の機関全体の実雇用率は3.07%で、おおむね全ての機関において法定雇用率(2.8%)を達成している。なお、国の法定雇用率は令和8年7月より3.0%に引き上げられることとなっている。
人事院としては、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
このほか、厚生労働省と連携して、各府省における合理的配慮事例の情報共有などの支援を行っている。今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。
6.女性参画の推進及び多様性の確保等について
○ 女性参画の推進について
女性参画の推進については、人事院としても、これまで柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の整備、超過勤務の縮減、仕事と生活の両立支援策の拡充やハラスメント防止対策など、男女ともに働きやすい勤務環境の整備を積極的に進めており、女性の採用・登用の拡大に向けた様々な施策を行ってきているところである。引き続き、各府省の具体的な取組が進むよう支援してまいりたい。
○ 多様性の確保について
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性については、人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)において職員はセクシュアル・ハラスメントをしてはならないと規定するとともに、同規則運用通知において偏見に基づく言動がセクシュアル・ハラスメントに含まれることを制度上明確にしており、令和2年4月には、「性的指向・性自認を本人の承諾なしに第三者に漏らしたりすること」(いわゆるアウティング)をセクシュアル・ハラスメントになり得る言動として例示するなどの施策を講じた。また、これらの施策について研修等により各府省への周知・啓発を行うとともに、ハラスメントに係る相談体制も整備している。
今後も、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(LGBT理解増進法)に基づく基本計画や指針等の策定に向けた政府全体での検討を踏まえながら、適切に取り組んでまいりたい。
7.定年の段階的引上げに伴う各種施策について
定年の段階的引上げに係る各種制度が各府省において円滑に運用されるよう、引き続き、制度の周知や理解促進を図るとともに、運用状況の把握に努め、必要に応じて適切に対応してまいりたい。
定年引上げに伴う級別定数措置については、今後とも、役降り後の職務や異動先、ポスト数のほか、定年引上げ後の昇格ペースを含む人事運用などに関する各府省・人事グループの検討を踏まえた上で、必要な級別定数を措置することとしている。
また、定年の段階的引上げ期間中の暫定再任用制度においても、できるだけ職員の希望が叶い活躍していただけるよう、人事院としても引き続き状況の把握に努め、必要な取組を進めてまいりたい。
8.福利厚生施策の充実について
○ 心の健康づくり対策について
心の健康づくり対策については、「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として、管理監督者をはじめとする職員に対する研修の充実・強化、職員の意識啓発のためのガイドブックの作成、心の不調を未然に防止するためのストレスチェックの導入、心の不調への早期対応のための「こころの健康相談室」の運営、円滑な職場復帰の促進や再発防止のための「こころの健康にかかる職場復帰相談室」の運営等に取り組んでいる。
また、ストレスチェック制度については、同制度の更なる活用や、職場環境改善の取組がより効果的に行われるよう、各府省への普及啓発を行い、一層の取組を促進している。
さらに、「こころの健康相談室」については、より相談しやすいよう、全ての窓口でオンライン相談に対応できる体制としている。引き続き、オンライン相談の活用を周知するなど、取組を一層推進してまいりたい。
このほか、心の健康の問題による長期病休者の円滑な職場復帰や再発防止のために、健康管理担当や人事管理担当、各職場における管理職等がそれぞれの立場で取り組むべき内容等の検討を進めているところ。
○ ハラスメント防止対策について
ハラスメント防止対策については、ハラスメント防止等の措置を講じるための人事院規則等に基づき、これまで、研修教材の作成・提供や、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催など、各府省に対する支援を行ってきている。
また、昨年度から「幹部・管理職員ハラスメント防止研修」について、組織マネジメントの観点も反映したより実効性のあるものとなるよう見直して実施する等の取組を行っている。
今後も、各府省のハラスメント防止対策の実施状況や民間等における取組の状況を把握するほか、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催、研修用教材の改訂等を外部の専門家と連携しつつ行うなど、各府省においてハラスメント防止対策が適切に実施されるよう、必要な支援・指導を行ってまいりたい。
これらの回答に対し、高柳副事務局長は次のとおり人事院の見解を質した。
1.賃金要求について
本年の連合春闘について、いわゆる集中回答日は来週であるが、先日芳野会長が明らかにした通り、既に満額回答が出ている企業など、現時点では、昨年を上回る賃金引上げに向けた機運が高まっている状況である。春闘後半に妥結が図られる中小の動向が本年もカギを握っており、人事院におかれてもご注目いただきたい。
昨年の勧告では、最低の引上げ率が1.1%となり全職員が3,000円を超える賃上げとなったことは評価をしているところであるが、引き続く物価高騰のもと実質賃金が3年連続で前年比マイナスになる中、特に高齢層の職員からは、不満の声も多く聞かれるのが実態である。昨年来申し上げている通り、物価の高騰は全ての職員を直撃していること、組織のリテンションという意味でも、中高齢層のモチベーションを維持・向上させるべきこと、これらの観点を重視し、本年夏の勧告までの作業を進めていただきたい。
2.中長期的な賃金関連課題について
特地勤務手当等について、何点か細かい点をお聞きしたい。「令和7年度に」見直しの成案を得られるよう、ということは、言わば本年の勧告とは切り離した形で作業が行われ、給与法の改正等は想定していない、と理解して良いか。また、「支給官署の見直し」ということは、少なくとも現時点では、人事院規則9-55の別表の見直しのみを想定している、ということで良いか。この場合、官署の指定及び級別区分の双方の見直しがあり得ると理解して良いか。
交通用具使用者の通勤手当について、本年の民調における調査項目の一つとする方向だと理解して良いか。また、ガソリン価格について言及されたが、確かにガソリン価格は地域差や時期的な変動があるものの、民間においては、ガソリン価格も考慮した上で通勤手当を支給している企業もある。その点を指摘しておきたい。
人事行政諮問会議であるが、そもそも一昨年の公務員人事管理報告では、「令和6年秋を目途に最終提言を得る」と明記されていたが、その後の人事院との協議の中で、「令和6年中」と軌道修正され、しかし、年を超えた、この3月に至っても、最終提言は示されていない。挙句の果てには、2月19日に森永事務局長が指摘した通り、昨年11月12日の第13回会議を最後に議事録も資料も公開されていない状況が続いている。一体どのような議論状況で、どのような見通しであるのか明らかにされたい。
その上で、今言及された「職務ベースの報酬設定、能力・実績主義の徹底に必要となる施策」であるが、これは、より具体的には、昨年の公務員人事管理報告に示された「在級期間に係る制度・運用の廃止を含めた見直し」「職務内容等を明確化し、職務の重要性に見合った報酬水準を設定するなど、国家公務員法に定める職務給の原則や能力・実績主義の徹底」「官民給与の比較対象となる企業規模についての検討」といった内容を含んでいると考えて良いか。その上で、諮問会議の最終提言で示されるであろう給与関係の項目が含まれると理解して良いか。
「60歳前後の給与カーブ」についてであるが、先ほども指摘した、中高齢層職員の不満あるいは不安ということで言えば、定年延長職員の「7割水準」に加えて、再任用職員の一時金の水準などについて、多くの指摘を現場から頂いていることを追加して指摘しておきたい。今、「定年が引き上げられる中での公務における人事管理の在り方の変化や、民間における高齢期雇用や高齢層従業員の給与水準の状況を注視しつつ、職員の役割・貢献に応じた処遇の観点から、人事管理に係る他の制度と一体で引き続き検討」と述べられたが、単に月例給におけるカーブの問題だけではなく、まさしくトータルな検討・見直しの作業とすることを強く要請しておきたい。
3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
ご回答にあった通り、賃金関係、任用関係、そして両立支援制度などについても、この間改善が図られていることは承知しており、人事院として、さまざま努力されていることは評価したい。
その上で、内閣人事局にも指摘した点であるが、この間指摘している通り、現在の国公職場における非常勤職員の位置づけはかつてとは大きく異なっていること、また社会的にも一定以上注目されている問題であることも踏まえる必要がある。そのため、委員・顧問・参与等を除く、全般的な非常勤職員制度のあり方について、人事行政に責任を持つ立場として、改めて実態の把握と制度の検証を行うことを要望しておく。
4.労働時間の短縮及び休暇、休業等について
昨年末に公表された、令和5年度の「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等」に関する調査では、残念ながら、全体として前回調査より増加する結果となった。大規模災害への対応などが大きかったものと考えるが、人事院としてどのように受け止めているかお聞かせいただきたい。また関連して、令和5年6月~令和6年2月に「勤務時間の管理等に関する調査」として、「在庁時間」と「超過勤務時間」のデータを突合する調査を行っているが、このような調査は、その後実施されたのかどうか確認したい。何らか行われたのであれば、いずれ情報提供を願いたい。
また、勤務間のインターバル確保に係る調査・研究事業であるが、昨年5月と9月の調査の速報値についてはご提供いただいたが、当然、調査・研究の結果どうであったのか、関心があるところである。適切な時期に、明らかに出来る内容について開陳いただきたいと思うが、どうか。
各府省における在宅勤務等手当の運用状況について、「各府省の事務負担を考慮しつつ、令和7年国家公務員給与等実態調査において把握」するとのことであった。これについても、調査結果を共有願いたい。
5.障害者雇用について
「令和6年6月1日現在において、国の機関全体の実雇用率は3.07%で、おおむね全ての機関において法定雇用率(2.8%)を達成している」とのことであった。
その上で、今言及された人事院の指針は、まさしく同年(2018年)8月に中央省庁における障害者雇用の、いわゆる水増し問題があったことを受ける形で発出されたものと承知している。引き続き適正な障害者雇用の確保に向けて、関係府省とも連携し、施策を推進されたい。
6.定年の段階的引上げに伴う各種施策について
昨年末の基本要求の際にも紹介した、最新の私どもの組合員意識調査であるが(国公・一般行政職の回答者=5,000人強)、既に60歳を超えている職員及びこれから定年を迎える45歳以上の職員に、どのような不安・不満があるか尋ねたところ、「賃金が仕事に見合わない」が最も多いことは先ほども述べた通りであるが、国家公務員の場合、「45歳~59歳」「60歳~」ともに、「希望する勤務地で働ける」を最も重視していることが分かった。全国異動のある国家公務員の場合、ある程度はやむを得ないとは思うものの、今言及された通り、「できるだけ職員の希望が叶い活躍していただける」ことを重視し、各府省に対する働きかけを強めていただきたい。
7.福利厚生施策の充実及び働きやすい職場づくりについて
パワハラであるが、これも今報告した組合員の意識調査では、国家公務員のおよそ35%程度で「パワハラがある」と回答しているが、周知・啓発の取組が行われている職場や、相談窓口が整備されている職場ほど、パワハラを見聞した職員が少ない、という結果も出ている。各種研修や専門家と連携した相談窓口の拡充・強化を一層図るようお願いしたい。
これらに対し、木村職員団体審議官は「春期から人勧期にかけての重要課題について改めて御意見や御要望をいただいたほか、御質問もいただいた。まず、御質問について現時点でお答えできることを申し上げる」と述べ、次のとおり回答した。
〇 特地勤務手当等について
特地勤務手当等の見直しの内容については、現在検討中であるが、支給官署の見直しについては、手当の対象となる官署とその級別区分の双方が見直しの対象となるものと考えている。一方、見直しの内容が規則別表の見直しのみとなるかどうかについては、現時点でお答えすることは困難である。また、本年の勧告との関係も、見直しの内容を踏まえ、今後検討していくこととなる。
〇 交通用具使用者の通勤手当について
本年の職種別民間給与実態調査の内容については、現在、担当課において検討中であり、現時点では、調査項目を含め、調査の具体的な内容についてお答えできる状況にない。
〇 人事行政諮問会議について
人事行政諮問会議では、現在、これまでの会議で出された各委員の御意見を整理しながら、最終提言に向けた丁寧な議論を重ねているところであり、今後、議論がまとまり、最終提言が手交され次第、公表する予定である。また、第13回会議以降の会議内容については、最終提言に関する議論の途中経過の段階であるため、中間報告の際と同様、最終提言が公表されるタイミングで各回の会議資料などを公表する予定である。なお、各委員との日程調整などの関係から、今後の会議のスケジュールや最終提言の時期を現時点でお示しすることは困難である。
「職務ベースの報酬設定、能力・実績主義の徹底に必要となる施策」の内容に関する御質問については、お見込みのとおりであるが、諮問会議の最終提言との関係については、諮問会議における議論が継続中である現時点においてお答えすることは困難である。
〇「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等」に関する調査について
超過勤務が発生した要因は様々であることから、上限を超えた職員の割合が変動した理由について一概に申し上げることはできないが、令和5年度においては、「大規模災害への対処」により上限を超えた職員の割合の大幅な増加、「新型コロナウイルス感染症対策関連業務」により上限を超えた職員の割合の大幅な減少などの状況が見られたところである。
〇 勤務時間の管理等に関する調査について
勤務時間の管理等に関する調査は、令和6年度においても実施しており、調査の結果については、調査終了後、結果がまとまり次第公表する予定である。
〇 勤務間のインターバル確保に係る調査・研究事業について
現在、第1回及び第2回調査の調査結果についての詳細な分析、民間企業、各府省、有識者へのヒアリング結果を踏まえた研究等を行っているところである。情報提供に係る具体的な進め方は現時点では未定であるが、情報提供に係る御要望があることについては承った。
御質問に対する回答は以上であるが、そのほかにいただいた御意見や御要望については、担当する部局としっかりと共有させていただく。
これらに対し、高柳副事務局長は「ご回答は承った。一点だけ超過勤務についてコメントさせていただくと、今回の『アップデート』における見直しの着眼点として、『人事・給与事務をより簡素なものにする』ということがあったと考える。これらの事務に伴う超勤の問題は、自律部署などでは軽視できない課題だと考えるので、一層の努力をお願いしたい」と述べた。
また、交渉委員からは次のとおり発言があった。
「一昨年、昨年の賃上げの中で、若年層に対する賃上げ配分が多い点についての批判は無いが、組合員の声として、『中堅層、高齢層への配慮が欠けていたのではないか』というものがある。士気やモチベーションの低下を招き、若年層も将来展望を持てない状況である。賃金配分の問題は公務のみならず連合でも2025春闘の課題とされており、各世代のバランスの取れた賃金体系を現時点から求めておく」
「非常勤職員の待遇が改善される中、再任用職員の一時金だけが低水準に据え置かれている。制度発足時の経緯は承知しているが、現在は不合理な格差であり、常勤職員と同等の支給水準を求める」
「仕事と家庭の両立やワーク・ライフ・バランスの推進について、制度の改善だけでなく取得しやすい環境整備が重要である。国公職場ではワーク・ライフ・バランスが当然なものとなるよう、各府省に対する人事院の積極的な指導を求めるとともに、子の看護等休暇の期間・対象年齢の拡大を要請する」
「交通用具使用者の通勤手当について、平成26年の引き上げ以降、ガソリン価格の高騰や消費税率の引き上げがあったにもかかわらず見直しが行われていない。さらに、駐車場負担などによりマイカー通勤者の負担が大きいとの声もあるため、通勤手当の増額を求める」
これに対し、木村職員団体審議官は「公務の給与のあり方については、中高齢層の職員を含め、民間動向や人事管理上の課題を踏まえて対応していくことが重要と考える。再任用職員についても、民間の高齢層職員の給与や国の定年前職員の状況を踏まえ、引き続き検討を進めていく。ワーク・ライフ・バランスの推進については、制度の改善だけでなく、定着が重要と考えており、現在制度の浸透に力を入れている。通勤手当については強い要望があるものと認識しており、担当者と共有しておく」と答えた。
最後に高柳副事務局長が「ご回答は承った。本日段階のご回答として受け止めたい。本日のやり取りを踏まえ、13日の職員福祉局長、給与局長との交渉において、再度不明な点を質すとともに、私どもの意見を述べさせていただきたい」と述べ、交渉を締めくくった。