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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2023年度 公務労協情報 No. 29

人事院が月例給・一時金の引上げを勧告-8/7

-公務員連絡会は声明を発出し、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出することを要求-

 

 人事院は本日、国会と内閣に対して月例給を0.96%、3,869円、一時金を0.10月引き上げる勧告・報告を行った。
 また、公務員連絡会は代表者会議で、別紙1の声明を確認するとともに、本日の人事院勧告・報告を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに各構成組織の実情に応じた行動等を実施することとした。あわせて、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対して、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること等を求める要求書を提出することとした。なお、連合においても2023人事院勧告について、事務局長談話(別紙2)を発出している。


別紙1-公務員連絡会の声明

声  明

1.人事院は、本日、①月例給の0.96%(3,869円)の引上げと一時金の支給月数の0.10月分引上げ等に関する勧告、②勤務時間に関する勧告、③「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」および柔軟な働き方等を含む公務員人事管理に関する報告を行った。

2.公務員連絡会は、6月21日に人事院に要求書を提出して以降、全国の組合員参加による署名(総計683,141筆)と地方代表者を中心とした提出行動、4年ぶりとなる中央行動等を背景に、幹事クラス、書記長クラスによる交渉を複数回行ってきた。
 本年の人勧期における重要課題は、①全職員に対する月例給を引上げさせること、②一時金の支給月数を引き上げ、期末・勤勉の適正な配分を行わせること、③初任給を中心とする若年層における民間賃金との格差解消を図らせること、④「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について、地方で働く職員にも十分配慮したものとさせること、⑤再任用職員への生活関連手当の支給を含め高齢層職員の処遇の見直しを図らせること、⑥更なる非常勤職員の待遇を改善させること等であった。

3.本年の給与に関する勧告は、①月例給について、公務において人材確保が喫緊の課題であること等を踏まえ、大卒初任給を11,000円、高卒初任給を12,000円引き上げ、初任給以外の号俸については、若年層に重点を置き、そこから改定率を逓減させる形で全職員の引上げを行うとしている。②一時金については、0.10月分の引上げ、今年度については、12月期の期末手当及び勤勉手当に配分し、来年度以降については、6月期及び12月期が均等になるよう配分するとしている。

4.以上の本年の勧告について、①月例給に関しては、交渉において人事院が例年以上に厳しい認識を示すもと、粘り強く「全職員の引上げ勧告」を求めた結果、若年層に重点を置きつつも俸給表全体の改定を勝ち取ることが出来たことは、課題は残るところではあるが、この間の交渉の到達点として受け止めるものである。特に、職員全体のモチベーションの維持・向上の観点からすれば、今後の配分に関しては、一層十分な交渉・協議、合意によることを人事院には強く求める。なお、初任給を始め若年層の大幅な処遇改善は、人材確保や非常勤職員の待遇改善にも繋がるものとして理解したい。②一時金に関しては、2年連続の引上げを勝ち取るとともに、期末手当については、97年勧告以来となる引上げとなった。③これら月例給および一時金の引上げは、この間大規模自然災害や感染症対策などで奮闘する現場の職員の労苦に応えるべきであること、また引き続く物価高騰が全職員の生活を圧迫している事態を重視すべきであること等を昨年の勧告以降今日まで主張し続けた我々の要求に、人事院が一定程度応えたものと受けとめるものである。

5.「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」については、「骨格案」として、①「人材確保への対応」として、新卒者、若手・中堅職員の処遇やミッドキャリア人材等の処遇の改善、②「組織パフォーマンスの向上」として、役割や活躍に応じた処遇や、地域手当・再任用職員に関する手当の見直しなど円滑な配置等への対応、③「働き方やライフスタイルの多様化への対応」として、扶養手当、新幹線通勤に関わる手当、単身赴任手当の見直しなど、の三つの柱が示された。いずれの項目も、新設される「在宅勤務等手当」を除き、来年の勧告で示される予定の「措置の成案」に向けて今後具体化されていくことから、検討にあたっては、その必要性及び合理的な理由を明確にした上で、職員の理解と納得が得られる内容となるよう、引き続き、人事院との交渉・協議を強化し、合意に基づく対応を求めていく。

6.柔軟な働き方については、「研究会」最終報告を踏まえ、「職員の選択による勤務しない日(ゼロ割振り日)の追加」「勤務開始後の割振り変更」「勤務間インターバル」「非常勤職員のフレックスタイム制」「夏季休暇の使用可能期間の拡大」「年次休暇の15分単位での使用」について、現時点での考え方や法令・通知等の改正の方向が示された。要員不足など職場の現状と組合員の生活実態に基づく意見反映に向け、引き続き人事院との交渉・協議を進める。

7.長時間労働の是正については、超過勤務に関する「上限規制超え」や超勤手当の支払い等に関して課題が多く残されていることが明らかになっており、人材確保にもマイナスの影響が出ている。他律部署の指定基準の明確化や特例業務の範囲の厳格化などを含めて、人事院として精力的に対応することを求めるとともに、各府省労使間で真摯に超過勤務縮減に向けた議論を行う等必要な対応をはかっていく。

8.非常勤職員については、この間、各種休暇制度の改善や、「給与指針」の改正等が図られてきているが、特に本年は、勧告に基づく給与法改正により常勤職員の給与を4月に遡及して改定することになった場合には、指針に基づく遡及改定が徹底されるよう人事院には各府省に対する指導を求めておく。なお、報告において新たな取組を開始することが示されたことも踏まえつつ、制度の改善を求めていく。また、両立支援策のさらなる拡充やハラスメント防止対策の強化についても、人事院との協議を継続していく。

9.以上のように、本年の勧告・報告は、我々の要求に全て応えたものとは言えず、今後の具体的検討に委ねられる課題も多いが、まずは、政府に対して、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出することを求める。
さらに、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の賃金確定闘争に向けて、全力を尽くすものである。

2023年8月7日
公務員労働組合連絡会


別紙2-連合事務局長談話

2023年8月7日

2023年人事院勧告に対する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.社会全体への賃上げの波及に向け、早期に勧告どおり改定すべき
 人事院は本日、政府ならびに国会に対して、2023年度の国家公務員の給与について、月例給を3,869円(0.96%)引き上げ、一時金の支給月数を年間4.50月(0.10月増)とすること、在宅勤務等手当の新設を勧告した。なお、月例給引き上げの原資で、高卒初任給を12,000円(約8%)、大卒初任給を11,000円(約6%)引き上げている。
 本勧告は、今次春季生活闘争において、直近の物価高による家計への影響はもとより、賃金水準の停滞が企業経営や産業の存続、ひいては日本の経済成長に及ぼす影響について、中長期的視点を持って交渉・妥結した民間給与の改定状況を踏まえたものである。政府と国会は、社会全体に賃上げを波及させるべく、早期に勧告どおり改定を実施すべきである。また、各府省は、非常勤職員の給与についても、非常勤職員の給与に関する指針に沿って、常勤職員の給与改定に準じ、適切に支給すべきである。

2.公務職場の現状に鑑みた勤務環境の改善を
 給与勧告と同時に行われた、「公務員人事管理に関する報告」では、フレックスタイム制の見直し、年次休暇の使用単位の見直しなどのほか、超過勤務の縮減に向けた取り組みなどが報告されたが、長時間労働の是正に関しては、超過勤務に関する「上限規制超え」の実態が改善されないなど課題が残されている。
 人事院には、超過勤務の縮減などの取り組みを徹底した上で、勤務間インターバルの確保やテレワークガイドラインの策定など、柔軟な働き方を実装するための制度改革の検討にあたっては、労働組合との丁寧な協議を求める。

3.地方自治体は少なくとも人事院勧告同様の給与引き上げと丁寧な労使交渉を
 今後、人事委員会が置かれている地方自治体においては、地方公務員の給与にかかる勧告が行われるが、人事院勧告を踏まえ、少なくとも同様の引き上げ勧告がなされること、あわせて、会計年度任用職員についても、常勤職員の給与改定に準じて、適切に支給されることを求める。加えて、地方自治体に対しては、地方自治の本旨にもとづき条例改正に向けて労使交渉が尊重されることを求める。

4.連合は、より質の高い公共サービスに資する公務員制度改革に取り組む
 人事院勧告は、あくまで労働基本権制約の代償措置であり、公務員の労働基本権の回復と自律的労使関係制度の早期の確立が求められる。連合は、国民の安全・安心なくらしを守る、より質の高い公共サービスの維持・発展に向け、ILOをはじめ関係する組織と連携しながら、民主的な公務員制度改革の実現をめざしていく。

以 上