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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2023年度 公務労協情報 No. 32

国家公務員制度担当大臣、厚生労働大臣に要求書提出

 公務員連絡会は、人事院報告・勧告が7日に行われたことを受けて、河野国家公務員制度担当大臣、加藤厚生労働大臣に対し、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出することを求める要求書(別紙)を提出した。
 なお、政府は7日に給与関係閣僚会議を開催したが、引き続き、人事院勧告の取扱いについて協議していくこととしている。
 要求提出の経過は次のとおり。

<国家公務員制度担当大臣への要求書提出の経過>
 河野国家公務員制度担当大臣への要求書提出は、7日16時45分から行われ、委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭、武藤議長は、次のとおり要請した。
(1) 人事院は、本日、本年の給与に関する勧告・報告を行うとともに、「柔軟な働き方」をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行った。
(2) 本年の月例給については、初任給を始め若手を中心とした引上げをした上で、そこから改定率を逓減させる形で全職員の俸給表の改定を行うものである。このことは、「若年層における官民の格差解消」や「全職員の月例給の引上げ」を求めてきた私どもの立場からすれば、課題はあるものの一定評価できるものと受け取っている。
(3) また、一時金については、期末手当、勤勉手当の双方合わせて0.1月引き上げることが勧告された。この点も、組合員の期待に一定程度応えたものと受け止めているところである。
(4) その上で、政府におかれては、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや、国家公務員給与が民間給与に影響する観点を踏まえ、賃上げによる経済の好循環を図るためにも、本年の勧告通りに実施する閣議決定を速やかに行い、所要の法案を国会に提出することを求めておく。
(5) 河野大臣におかれては、大臣就任以来、長時間労働の是正や非常勤職員の処遇改善など、公務職場の働き方改革の推進に当たり、リーダーシップを発揮していただいていることに心から敬意を表する。
引き続き、われわれも組合の立場で、労使がともに責任をもって、明るく働きがいのある職場の実現がはかられるように取り組んでまいる。是非、これまで以上に、政府との間でも、建設的な議論を行っていきたいと思うとともに、適切な賃金・労働条件の確保や要員の確保に向けて、大臣には、最大限のご努力をお願いする。

 これに対し河野大臣は次のとおり回答した。
○公務員の方々が国民全体のために献身的に職務に当たられていることに対し、敬意を表する。
○本日、人事院から給与改定に関する勧告が提出された。これを受けて、その取扱いの検討に着手したところである。
○国家公務員の給与については、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から、その取扱いの検討を進めていく。
 その過程においては、皆様方の意見も十分にお聞きしたいと考えている。
○また、フレックスタイム制の見直しについての勧告も行われたところであり、皆様方の意見も十分にお聞きしつつ、必要な対応を検討していく。
○国家公務員の働き方改革を実現するため、様々な取組を進めている。また、国会対応業務については、皆様から関係各方面に対して、質問通告の早期化を働きかけていただいており、大変心強く思う。
 引き続き、現場の実情を含め、皆様からもご提案をいただきながら、前に進めるのでご協力をお願いする。

<厚生労働大臣への要求書提出の経過>
 加藤厚生労働大臣への要求書提出は、10日14時10分から行われ、武藤議長、川本副議長、森永事務局長が出席した。
 冒頭、武藤議長は、次のとおり要請した。
(1) 人事院は、本日、本年の給与に関する勧告・報告を行うとともに、「柔軟な働き方」をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行った。
(2) 本年の月例給については、初任給を始め若手を中心とした引上げをした上で、そこから改定率を逓減させる形で全職員の俸給表の改定を行うものである。このことは、「若年層における官民の格差解消」や「全職員の月例給の引上げ」を求めてきた私どもの立場からすれば、課題はあるものの一定評価できるものと受け取っている。
(3) また、一時金については、期末手当、勤勉手当の双方合わせて0.1月引き上げることが勧告された。この点も、組合員の期待に一定程度応えたものと受け止めているところである。
(4) その上で、政府におかれては、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや、国家公務員給与が民間給与に影響する観点を踏まえ、賃上げによる経済の好循環を図るためにも、本年の勧告通りに実施する閣議決定を速やかに行い、所要の法案を国会に提出することを求めておきたい。
(5) 加藤大臣におかれては、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保など、官民共通の課題の解決に向けた積極的な対応を求めるとともに、われわれの要求事項の実現に向けて最大限の努力を改めてお願いしたい。

 これに対し加藤大臣は次のとおり回答した。
○公務において、様々な業務に日々ご奮闘いただいていることに、深く感謝を申し上げる。
○本年の人事院勧告では、昨年に引き続き、月例給、ボーナスともに引き上げるよう勧告があったところである。特に月例給の引き上げ額は29年ぶりの水準のものと承知している。
○この人事院勧告については、現下の経済・雇用情勢を踏まえ、様々な角度から真剣かつ慎重な検討が加えられ、出されたものであると認識している。
○8月7日の給与関係閣僚会議において、国家公務員の給与の取扱いについて協議が開始された。私としては、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を維持・尊重するという立場に立った上で、賃上げを新しい資本主義の最重要課題として位置付けており、国家公務員の給与改定は民間給与の水準にも様々な影響があること、また、賃金が上昇局面にあることも踏まえ、足下の賃上げの状況も注視しながら、国民の理解を得られるような結論を得るよう、関係閣僚間で誠意をもって検討を進めてまいりたいと考えている。


(別紙)人勧取扱に関わる政府宛要求書

2023年8月7日

内閣総理大臣
 岸 田 文 雄 様

公務員労働組合連絡会
議 長  武 藤 公 明
(公 印 省 略)

本年の人事院勧告・報告に関わる要求書

 常日頃、職員の職務環境の整備や待遇改善にご努力いただいていることに敬意を表します。
 さて、人事院は8月7日、月例給の民間給与との較差が0.96%(3,869円)であるとして、初任給・若年層に重点を置きつつ俸給表全体を改定すること、一時金の支給月数を0.1月分引上げ、年間4.5月とする給与に関する勧告・報告を行うとともに、公務における柔軟な働き方を実現するための制度改革の推進をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行いました。
 本年の給与改定に関する勧告は、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや、近年にない高水準となった民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえたものであることに加えて、昨年を上回る物価高騰のもとで職員の生活改善を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考えます。
 また、公務員人事管理報告では、多様なワークスタイル・ライフスタイルを可能とするためのより柔軟な働き方について、様々な改革のメニューが示されましたが、長時間労働の是正はもとより職場実態を踏まえた見直しでなければなりません。
 このようなもと、職場においては、職員の懸命な奮闘が続いていますが、増大する業務量に見合った要員が恒常的に不足し、長時間労働が蔓延するなど厳しい状況は改善されておらず、良質な公務・公共サービスを確実に提供するためにも、職員が安心し安全に働くことのできる職場環境の整備や適切な要員の確保と賃金労働条件の改善が極めて重要です。
 貴職におかれましては、職員が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、下記事項の実現に向けて最大限努力されることを要求します。

1.本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること。
2.公務における柔軟な働き方を実現するための制度改革の推進にあたっては、超過勤務の縮減、要員の確保とあわせて進めること。

以上


2023年8月10日

厚生労働大臣
 加 藤 勝 信 様

公務員労働組合連絡会
議 長  武 藤 公 明
(公 印 省 略)

本年の人事院勧告・報告に関わる要求書

 常日頃、職員の職務環境の整備や待遇改善にご努力いただいていることに敬意を表します。
 さて、人事院は8月7日、月例給の民間給与との較差が0.96%(3,869円)であるとして、初任給・若年層に重点を置きつつ俸給表全体を改定すること、一時金の支給月数を0.1月分引上げ、年間4.5月とする給与に関する勧告・報告を行うとともに、公務における柔軟な働き方を実現するための制度改革の推進をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行いました。
 本年の給与改定に関する勧告は、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや、近年にない高水準となった民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえたものであることに加えて、昨年を上回る物価高騰のもとで職員の生活改善を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考えます。
 また、公務員人事管理報告では、多様なワークスタイル・ライフスタイルを可能とするためのより柔軟な働き方について、様々な改革のメニューが示されましたが、長時間労働の是正はもとより職場実態を踏まえた見直しでなければなりません。
 このようなもと、職場においては、職員の懸命な奮闘が続いていますが、増大する業務量に見合った要員が恒常的に不足し、長時間労働が蔓延するなど厳しい状況は改善されておらず、良質な公務・公共サービスを確実に提供するためにも、職員が安心し安全に働くことのできる職場環境の整備や適切な要員の確保と賃金労働条件の改善が極めて重要です。
 貴職におかれましては、職員が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、下記事項の実現に向けて最大限努力されることを要求します。

本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること。

以上