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2022年度 公務労協情報 No. 14

2022春季生活闘争・公共サービスキャンペーンを開始-2/18

 公務労協は18日13時30分から、東京・TKP神田ビジネスセンターで「2022春季生活闘争・2022年公共サービスキャンペーン開始中央集会」を開催した。また、集会はYouTubeによるライブ配信も同時に実施した。
 この集会は、①新型コロナウィルス感染症の感染拡大による厳しい社会経済状況のもと、2022春季生活闘争の推進にあたっての基本的立場の意思統一を図ること②東日本大震災をはじめとする大規模自然災害、新型コロナウィルス感染症といった社会的危機を踏まえ、公務・公共サービスに従事する労働組合としての社会的責任を果たすための対応の強化と公共サービスの再構築を通じて国民が安心して暮らすことのできる社会の創造に資することを目的に開催した。

主催者を代表してあいさつする川本議長

 集会冒頭、主催者を代表して川本公務労協議長は「1月17日に第208回通常国会が開会された。2020年に新型コロナウィルス感染症の拡大が始まってから3年が経った。感染症対策と経済対策という国民生活にとって喫緊の課題が本国会では重要な論点であり、国会が果たすべき役割である。1月24日には予算審議が始まり、立憲民主党が、アベノマスク廃棄、統計の不正の問題等、争点を明らかにしながら発言をしているのに対し、政府与党からはいずれも明確な答弁が無く、参議院選挙を視野に入れ、争点を作らない、対立しないという姿勢に終始している。そのような中で、新型コロナウィルス感染症の3回目のワクチン接種も十分に進んでいるとは言えず、亡くなられた方の数も増え続けている。これは昨年秋段階での政府の想定の甘さと言わざるを得ない。改めて今後の国会論争に期待をしておきたい。2022春闘について、すでに各社前年を上回る要求という報道等が出ている。また、離職を食い止めるためにベア要求をするという選択をした産別もある。感染症に大きく影響を受けた業種においても感染症終息後を見据えたベア要求を進めている。一方で、連合、経団連での協議では、産業ではなく企業ごとの業績を強調する流れであり、先行きは不透明であるといえる。公務労協として、しっかりと各地で連携して取組を進めるという決意をもって今春闘に臨んでいきたい。新自由主義、市場万能主義の対抗軸として始まった公共サービスキャンペーン運動は、危機においても有効に機能する国、地方自治体のあり方を再構築していくという方向性で進んできた。また、自己責任論が強まる政府に対して、社会的責任を重視し公助を中心とした支援制度の充実を進めていくべきとの議論を積み重ねてきた。昨年6月に実施した危機調査を、この春闘期にしっかりと分析し対策を行う等、私たちの基本的構想の策定に向けての検討を進めていく。この集会を契機に、すべての構成産別でしっかりと春季生活闘争を進めるとともに、公共サービスキャンペーンを組み立てていこう」と決意を述べた。

 挨拶に続き、加藤達夫公務労協副事務局長が「危機への対応を可能とする公務・公共サービスに関する実態調査(危機調査)」を報告し、総務省の瀧川聡史応援派遣室室長より「大規模災害時の地方公共団体からの応援職員の派遣について」と題した講演を受けた。
加藤副事務局長は、まず調査結果から、要員の絶対数が不足しているという意見が多くあったことを明らかにし、人材不足が深刻な中で災害、感染症などの危機対応が取り組まれている実態を報告した。次に、東日本大震災からの被災地の復興・復旧について、若年層ほど肯定的な見方が多数を占め、被災前から職員であった職員と、被災後に職員となった世代の間で認識のギャップがあることを報告した。職員の災害対応での応援経験と課題については、約10人に1人が応援受入や応援従事を経験していること、「応援職員の絶対数の不足」「応援職員を管理できる人材の不足」が最大の課題になっていることを挙げた。また、新型コロナウィルス感染症により働き方に多大な影響があったのは、住民サービスに直接的に関わるケースが多い地方職員であることや、感染拡大以降の業務量が増加し、超過勤務が増加していることについて示した。報告の最後に、加藤副事務局長は「定員削減基調に歯止めをかけるとともに、省庁を超えた一元的な対応を可能とする公共セクターの創設の必要性が浮き彫りとなった。今後、危機調査結果の分析等を進め、学者等有識者の知見等を踏まえた基本的な構想の策定の検討を予定している」とまとめた。
 瀧川室長は、まず災害時に市町村で発生する業務について時系列に沿って説明した。その後、自団体内、自団体外の人的資源の活用について触れ、そのうち、自団体外の人的資源の活用の一つである応援派遣について現状の制度である「短期派遣」「中長期派遣」それぞれについて具体例を交えながら説明をした。短期派遣について、特に災害マネジメント総括支援員の役割や活用について、対口支援の活動内容について触れた。また、中長期の派遣について、近年大規模災害が頻発化、激甚化していることから、需要に対して不足が生じている状況を説明した。特にニーズの高い技術職員の確保のため構築された復旧・復興支援技術職員派遣制度について「小規模自治体においてはそもそも技術職員の確保が課題となっている中で、ハードルも高いが、登録者の確保に向けた議論を重ねていきたい」とした。最後に、瀧川室長は「プロパー職員を休ませながら持続可能な体制を作るということが重要な視点であり、そのための応援職員という考え方からも応援要請は躊躇なく行っていただきたい。また応援職員の力を十分に発揮していただくために、どのような役割にあたってもらうかということを平時に想定しておくことも重要だ」とまとめた。
 最後に森永事務局長が、「昨年6月に開催した公共サービスキャンペーン中央集会を受け、本集会は公共サービスキャンペーンを再構築するためのキックオフである。公務労協政策制度専門委員会を中心に公共サービスキャンペーンの取組を進めていく。1月25日には公務労協、国公関係部会、地公部会それぞれの春闘方針を決定したところ。公務員連絡会として今後、実質1ヵ月間、幹事クラス、書記長クラスと交渉を積み上げ、2022人事院勧告期に向けて、課題等を政府、人事院と共有を図っていく」との基調提起を行った。その後、川本議長の団結がんばろうで中央集会を締めくくった。